外壁塗装で雨漏り修理はできる?正しい判断と解決方法を解説

雨漏りが発生すると、多くの方が「外壁塗装をすれば直るのではないか」と考えるかもしれません。
確かに外壁塗装には防水効果があり、外壁の劣化を改善する効果がありますが、雨漏りの根本的な解決につながるのでしょうか。

外壁塗装と雨漏り修理の関係について、正確な情報をお伝えしたいと思います。
大切な住まいを守るためにも、適切な判断ができるよう詳しく解説していきましょう。

目次
1. 外壁塗装で雨漏りは直るのか?基本的な考え方
2. 外壁からの雨漏りが起こる仕組みと原因
3. 外壁塗装で雨漏りが改善する場合・改善しない場合
4. 外壁からの雨漏りを根本的に解決する方法
5. まとめ:雨漏りと外壁塗装の正しい関係

外壁塗装で雨漏りは直るのか?基本的な考え方

結論:一時的に改善する場合もあるが根本解決は困難

外壁塗装だけで雨漏りを完全に修理することはできません。
この点について、まず明確にお伝えしておく必要があります。

ただし、雨漏りの原因や状況によっては、外壁塗装により一時的に症状が改善することもあります。
しかし、これは根本的な解決ではなく、時間が経てば再び雨漏りが発生する可能性が高いのが実情です。

なぜこのような状況になるのか、それは住宅の防水構造と雨漏りのメカニズムを理解する必要があります。

外壁塗装と雨漏り修理は別の工事

外壁塗装の本来の目的は、建物の美観回復と防水性の向上です。
一方、雨漏り修理は雨水の浸入経路を特定し、その原因を根本から解決する工事になります。

塗装工事も、また雨漏りがあれば雨漏り修理もお住まいにとっては必要なのですがそれを一緒と考えるのが失敗の素なのです。
同じ外装工事ですが、目的も施工内容も異なることを理解しておきましょう。

外壁からの雨漏りが起こる仕組みと原因

1次防水と2次防水の役割

外壁からの雨漏りを理解するためには、建物の防水構造について知っておく必要があります。
住宅の防水は「1次防水」と「2次防水」の二段構えで成り立っています。

1次防水とは、一般的に使用されている外壁材(コンクリート・ALC・モルタル・サイディング)の種類を問わず、壁の防水機能として捉える考え方の総称です。
つまり、サイディングやモルタルなど、外から見える外壁材のことを指します。

2次防水とは、1次防水(外壁材)の内側(室内側)に施工される防水紙の総称で、モルタルならアスファルトフェルト、サイディングなら透湿防水シートがあります。
この2次防水が、万が一1次防水を雨水が突破した場合の最後の砦となります。

雨水が1次防水を突破しても二次防水で雨水の浸入を防ぐことです。
もし2次防水も突破されると、室内への雨漏りが発生してしまいます。

外壁雨漏りの主な原因箇所

外壁からの雨漏りが発生しやすい箇所をご紹介します。

窓サッシ周り
窓を取り付けてあるサッシ、その廻りに充填されているシーリング材が経年で傷んできたり、サッシを固定している釘やビスなどが緩んだり、変形してしまうことで雨水が浸入してきます。

外壁材の継ぎ目
サイディングの場合、外壁材(サイディング)のつなぎ目のコーキング剤の劣化が雨漏りの原因となりやすい箇所です。

設備機器周り
エアコンの配管穴や換気扇フード、給湯器配管など、外壁を貫通している部分のシーリング材劣化も要注意です。

ベランダ・バルコニー
ベランダやバルコニーの防水層が劣化することで雨水が浸入し、外壁へ雨漏り被害を及ぼすこともあります。

外壁雨漏りの特徴と症状

外壁からの雨漏りには、屋根からの雨漏りとは異なる特徴があります。

台風のときだけ雨漏りが起きる、強風をともなう大雨の日だけ雨漏りが起きる、症状が現れるまで時間がかかるといった特徴が見られることが多いのです。

これは、外壁内部には防水紙が敷かれており、万が一外壁から雨水の浸入があったとしても室内への浸入を防いでくれていますし、
防水紙の不具合からさらに雨水が内部に入り込んできたとしても断熱材が含水することで、室内に到達するまでにはかなりの時間を要しますためです。

外壁塗装で雨漏りが改善する場合・改善しない場合

一時的に改善が期待できるケース

外壁塗装により雨漏りが一時的に改善する可能性があるのは、比較的軽微な1次防水の不具合が原因の場合です。

例えば、サイディング壁のシーリング(コーキング)が破断した事で雨漏りが発生したとします。
塗装工事により、シーリングを新たに施工し、経年劣化をした壁を塗装する事で1次防水の機能を取り戻します。

このような場合、外壁塗装と同時にシーリング工事を行うことで、一時的に雨漏りが止まることがあります。

外壁塗装では解決できないケース

しかし、多くの場合、外壁塗装だけでは雨漏りの根本解決にはなりません。

雨漏りが発生していたという事は、2次防水にも不具合がある事になります。
しかし、外壁塗装では1次防水の機能を取り戻せても、2次防水の不具合はそのままなので、シーリングの破断とともに雨漏りが再発します。

つまり、2次防水層である防水シートに問題がある場合、いくら表面を塗装しても根本的な解決にはならないのです。

また、雨漏りの大半は建材同士の取り合い(接合部や継ぎ目)部分からの雨水の浸入がすることによっておこります。
屋根塗装や外壁塗装とは係ないところで起こることも多いため、塗装工事の範囲外が原因の場合も多々あります。

塗装が逆効果になる可能性

場合によっては、塗装工事が雨漏りを悪化させてしまうケースもあります。

外壁塗装で、排水できる隙間を塗料でふさいでしまうと、かえって、雨漏りするようになることもあります。

特に金属サイディングなどでは、本来雨水が排出される構造になっているため、
塗装により排水経路を塞いでしまうと問題が発生する可能性があります。

外壁からの雨漏りを根本的に解決する方法

原因調査の重要性

雨漏りの根本的な解決には、まず正確な原因調査が不可欠です。
目視の簡易調査のみでしたら無料の場合が多いです。
ただ、目視のみで原因を正確に特定するのは難しいため、散水調査や赤外線調査など、より詳細な調査が必要になることもあります。

雨漏りの原因によって、適切な修理方法は大きく異なります。
表面的な処理で済む場合もあれば、外壁の張替え・やり直し工事の場合、モルタル外壁をはがし、防水シートの交換工事を行い、モルタルやサイディングを施工をしますといった大規模な工事が必要になる場合もあります。

適切な修理方法の選択

雨漏りの原因が特定できたら、その原因に応じた適切な修理を行います。

シーリング劣化が原因の場合は、シーリング材の増し打ち、または打ち替えを行います。

2次防水まで損傷している場合は、外壁塗装よりもコストはかかりますが、新たに透湿防水シートや雨仕舞を施工し、さらに新しいサイディングを取り付けることで、雨漏りを直すことができます。

ベランダ防水が原因の場合は、防水工事を行うことで改善できます。

業者選びのポイント

雨漏り修理を依頼する際の業者選びも重要なポイントです。

雨漏りについて点検や見積もりをお願いする際にはどのような相談すればよいかを考える必要があります。

信頼できる業者を見分けるポイントとして、雨漏りの原因をしっかり調査し、原因に応じた適切な修理方法を提案してくれるかどうかを確認しましょう。

「雨漏りを直すために棟板金の交換を行いましょう、また新築から15年も経過していますから併せて屋根と外壁塗装も一緒に行いましょう」という提案をしてくれる業者であれば塗装工事とは別に雨漏り修理工事もきちんと行ってくれる可能性があります。

一方で、「塗装すれば雨漏りが直る」とだけ説明する業者は避けた方が良いでしょう。

まとめ:雨漏りと外壁塗装の正しい関係

外壁塗装で雨漏りが直るかという問題について、重要なポイントをまとめると以下のようになります。

外壁塗装だけでは根本的な雨漏り解決は困難です。
一時的に症状が改善することはあっても、2次防水層の問題が解決されていなければ、再発の可能性が高いのが実情です。

雨漏りが発生している場合は、まず原因をしっかりと調査し、その原因に応じた適切な修理を行うことが大切です。
場合によっては外壁塗装も必要になりますが、それは雨漏り修理とは別の目的で行われるメンテナンスと考えるべきでしょう。

大切な住まいを長く守るためにも、雨漏りの兆候を感じたら早めに専門業者に相談し、適切な診断と修理を受けることをおすすめします。
塗装業者であっても雨漏り修理の知識と経験を持った信頼できる業者を選び、安心して任せられる関係を築いていくことが重要です。