茅ヶ崎で外壁の劣化が予想より早く進んでいると感じる方は少なくありません。
海岸に近い地域特有の気候条件が、外壁材料にどのような影響を与えているのかを知ることは、適切なメンテナンス計画を立てる上で重要です。
本記事では、気象データサイトや公的資料など複数の情報源から収集した茅ヶ崎の気候データと塩害に関する情報をもとに、この地域で外壁がどのような環境にさらされているかをご紹介します。
本記事は、2025年9月時点で入手可能な公開情報および一般的な業界知識をもとに作成しています。掲載されている気象データ、塩害の影響範囲、耐用年数などの情報は、過去の統計データや複数の情報源から得られた一般的な傾向を示すものです。実際の外壁の状態や最適なメンテナンス時期は、お住まいの具体的な立地条件、使用されている材料、施工品質、過去のメンテナンス履歴などにより大きく異なります。本記事の内容はあくまで参考情報としてご活用いただき、具体的な判断については必ず専門業者による現地調査と診断を受けていただくことを強くお勧めいたします。
茅ヶ崎の気候データ基本情報
茅ヶ崎市は相模湾に面した海岸地域で、気象学的には温暖湿潤気候に分類されます。
Weather Spark(https://ja.weatherspark.com/y/143852/茅ヶ崎市、日本における年間の平均的な気候)の長期気象データ(1980年~2016年の統計分析に基づく)によると、年平均気温は16.0℃、年間降水量は約1,565mmとなっています。
気温の年間変動
茅ヶ崎の気温は年間を通じて3℃から30℃の範囲で変化します。
最も暑い月は8月で平均最高気温30℃、最低気温24℃、最も寒い月は1月で平均最低気温3℃、最高気温10℃です。
夏季は6月29日から9月19日まで約2.7ヶ月続き、1日平均の最高気温が26℃を超えます。
冬季は12月6日から3月21日まで約3.5ヶ月続き、1日平均の最高気温が14℃未満となります。
風向きの季節パターン
茅ヶ崎の風向きは季節によって明確なパターンがあります。
4月15日から9月14日までの約5ヶ月間は南風が支配的となり、8月9日に頻度が51%で最大になります。
9月14日から4月15日までの約7ヶ月間は北風が支配的となり、1月1日に頻度が52%で最大になります。
風速については、最も風が強い月は3月で平均時速16.0km、最も穏やかな月は8月で平均時速12.7kmとなっています。
降水量・湿度の年間推移
茅ヶ崎の降水パターンと湿度環境は、外壁材料の劣化に大きく関わっています。
降水量の季節変動
年間降水量約1,565mmのうち、最も降雨が多い月は9月で平均195mm、最も少ない月は1月で平均54mmと、約3.6倍の差があります。
降雨日数で見ると、6月が最も多く平均13.4日間、1月が最も少なく平均4.9日間となっています。
梅雨期から秋雨期にかけて降雨が集中する傾向があります。
湿度環境の特徴
茅ヶ崎における高湿度期間は6月8日から10月1日までの約3.8ヶ月間続きます。
この期間は快適性レベルが少なくとも24%の割合で「蒸す」「蒸し暑い」レベルに達します。
最も高湿日が多い月は8月で、高湿またはそれより不快な日が28.6日あります。
一方、最も蒸さない日は2月11日となっています。
高湿度環境では外壁材料が吸湿と放湿を繰り返すため、特にモルタル外壁やサイディングボードでは膨張収縮による劣化が進みやすくなります。また、カビや藻類の繁殖条件も整いやすいため、北面など日当たりの悪い箇所では注意が必要です。
紫外線と太陽エネルギー
茅ヶ崎における太陽光の影響は、外壁塗装の劣化速度に直接関係しています。
太陽エネルギーの年間変動
1日当たりの平均入射短波エネルギーは、5月に最大の5.8kWh、12月に最小の2.7kWhとなっており、約2.1倍の差があります。
明るい期間は4月13日から8月31日までの約4.6ヶ月間続き、この期間中は1日の平方メートル当たり平均入射短波エネルギーが5.3kWhを上回ります。
紫外線による塗装劣化
紫外線は塗料中の樹脂成分を分解し、塗膜の物理的性質を変化させます。
塗料に含まれる顔料の分子結合が紫外線により破壊されることで、色褪せやチョーキング現象(外壁を触ると白い粉が手につく現象)が発生します。
外壁塗装の耐用年数は塗料の種類によって異なります。一般的な目安として言われているのは、アクリル系塗料が5から8年、ウレタン系塗料が8から10年、シリコン系塗料が10から15年、フッ素系塗料が15から20年程度です。ただし、これらの数値は標準的な環境下での目安であり、実際の耐用年数は施工品質、気候条件、メンテナンス状況などにより大きく変動する可能性があります。
海岸からの距離別塩害リスク
茅ヶ崎における塩害のリスクは、海岸からの距離によって大きく異なります。
塩害地域の定義
Wikipedia「塩害」(https://ja.wikipedia.org/wiki/塩害)によると、海水塩に由来する塩害は通常海岸から数km以内の地域で生じますが、台風の強風などにより海岸から遠く離れた内陸部まで被害が及ぶ場合もあるとされています。
一般的に塩害地域は以下のように分類されることがあります(ただし、実際の影響範囲は地形や風向きなどの条件により大きく変わります):
岩礁隣接地域:直接波しぶきがあたる場所
重塩害地域:海岸から200mから500m以内程度
塩害地域:海岸から500mから2,000m以内程度(一般的な地域の場合)
一部の情報では海岸から7kmまで塩害の影響が及ぶ可能性があるとされ、台風などの強風時には10km以上離れた内陸部まで塩分が飛来することもあると言われています。
塩害が外壁に与える影響
海沿いの地域では、塩分を含んだ潮風が建物に付着することで以下のような影響が生じます:
金属部分への影響
雨戸、シャッターボックス、金属サイディングなど、金属を使用した部分では腐食が促進され、錆の発生が早まります。
塗膜の劣化促進
塩分が塗装面に付着することで、通常より劣化速度が加速し、チョーキング現象や色褪せが早期に現れやすくなります。
コンクリートへの影響
コンクリート内部に塩分が浸透すると、内部の鉄筋が腐食し、ひび割れや剥離の原因となります。
海沿いの地域では、内陸部と比較して建物の塗装の耐久年数が通常より2から3年ほど短くなる傾向があると一般的に言われています。そのため、海岸に近い地域では、一般的な10年周期よりも早めのメンテナンスが推奨される場合があります。ただし、実際の劣化度合いは個別の環境条件により大きく異なりますので、定期的な専門家による点検が重要です。
茅ヶ崎の地理的特性
茅ヶ崎市は相模湾に面しており、特に海沿い2から3km範囲の住宅は塩害の影響を受けやすい立地といえます。
また、南風が吹く4月から9月の期間は、海からの塩分を含んだ空気が内陸部まで運ばれやすくなります。
立地環境に応じたメンテナンス
茅ヶ崎のような海岸地域では、立地環境を考慮したメンテナンス計画が重要です。
劣化を早める環境要因
外壁塗装の耐用年数に影響すると一般的に言われている主な環境要因:
紫外線・雨・風
遮るものがない立地環境では、直接的なダメージにより劣化が加速する傾向があるとされています。
塩分
海が近い場所では、塩分が外壁や金属部分に悪影響を及ぼす可能性があります。
湿気
川や池の近くでは湿度が高く、藻や苔が発生しやすくなる場合があります。
推奨メンテナンス方法
定期的な洗浄
塩害対策として最も基本的な方法は、外壁に付着した塩分を真水で定期的に洗い流すことです。
台風や強風の後は特に念入りに行うことが推奨されています。
洗浄の際は、柔らかい布やスポンジを使用し、塗膜を傷つけないよう優しく行います。
塗料選択の重要性
海岸地域では耐塩性・耐候性のある塗料の使用が効果的です。
フッ素系塗料や無機系塗料は、シリコン系塗料に比べて高価ですが、長期的な耐久性を考慮すると経済的な選択となる場合があります。
一般的に外壁塗装は約10年ごとのメンテナンスが推奨されることが多いですが、海岸に近い立地では環境負荷が大きいため、8年程度での点検・メンテナンスを検討する価値があるとされています。ただし、これらはあくまで目安であり、実際の最適なメンテナンス時期は、使用する塗料の種類、海岸からの距離、建物の方角、前回の施工品質など多くの要因によって変わります。そのため、年数だけでなく外壁の実際の状態(チョーキング、ひび割れ、色褪せなど)を定期的に確認し、専門業者による診断を受けることをお勧めいたします。
季節による施工条件
Weather Sparkのデータから、茅ヶ崎では10月下旬から11月にかけて降雨日数が年間で最も少なく(約4.9日)、比較的乾燥した気候となります。
また、2月から4月上旬も年間で乾燥した期間とされています。
外壁塗装工事では塗料の乾燥が重要なため、降雨が少なく湿度が比較的低い時期が施工に適していると考えられます。
茅ヶ崎の気候的特徴を理解し、海岸からの距離や建物の立地条件を考慮することで、より効果的な外壁メンテナンス計画を立てることができます。
定期的な点検と適切なタイミングでのメンテナンスにより、建物の美観と耐久性を長期間維持することが可能です。
地域の気候特性を踏まえた外壁メンテナンスについて、より詳しく知りたい方は専門業者にご相談されることをお勧めします。
茅ヶ崎での外壁診断・メンテナンス計画は、ハーモニーホームまでお気軽にお問い合わせください。