外壁点検30項目を完全網羅|前編:基本15項目のセルフ診断

外壁 検査

外壁点検30項目・前編の内容

ご自宅の外壁、普段からどのくらい意識して見ていますか。
毎日目にしているはずなのに、少しずつ進む変化には意外と気づかないものです。

外壁は住まいを守る大切な存在ですが、雨風や紫外線にさらされ続けることで、必ず劣化が進んでいきます。
小さなサインのうちに気づくことができれば、大がかりな修繕を避けられる可能性が高まります。

この記事では、プロの視点から厳選した外壁点検30項目のうち、前編として基本の15項目をご紹介します。
専門知識がない方でも、このチェックリストがあれば外壁の状態を把握できるはずです。

後編では、より詳細な項目と茅ヶ崎特有の塩害チェック、専門業者への相談タイミングなどをお伝えします。

なぜセルフチェックが重要なのか

専門業者による点検も大切ですが、日頃から自分の目で確認する習慣があると、いくつかのメリットがあります。

まず、劣化の初期段階で気づける可能性が高まります。
定期的に見ていれば「前回はなかったひび割れ」「最近増えた汚れ」といった変化に敏感になれるでしょう。

次に、訪問販売などで不必要な工事を勧められたときに、ご自身で判断する材料を持つことができます。
自分の家の状態を把握していれば、本当に必要な工事かどうか冷静に考えられます。

そして、専門業者に相談する際も、具体的にどこが気になるかを伝えられるため、より的確なアドバイスをもらいやすくなります。

点検前の準備と適切な時期

外壁のセルフチェックは、特別な道具がなくても始められます。
ただ、いくつか用意しておくと、より正確に状態を把握できるでしょう。

準備するもの
スマートフォンやカメラ、メモ帳、双眼鏡(高所確認用)、軍手、メジャーや定規があれば十分です。
すべて揃っていなくても、スマートフォンとメモ帳だけで基本的な確認はできます。

点検に適した時期と天気
晴れた日の午前中がおすすめです。
太陽が東側にあるうちに西面を見る、といった具合に、光の当たり方を工夫すると細かい変化が見えやすくなります。

雨上がりも、水を吸った箇所や雨だれの跡が目立ちやすいため、観察には適しています。

安全第一で確認する
無理に高い場所を確認しようとせず、地上から見える範囲で構いません。
はしごに登るのは危険ですので、高所は双眼鏡を使うか、専門業者に任せましょう。

年に2回、春と秋に実施するのが理想的です。
季節の変わり目に確認する習慣をつけると、変化に気づきやすくなります。

基本チェック①:外壁表面の状態(5項目)

それでは、具体的なチェック項目を見ていきましょう。
まずは外壁表面の見た目から確認します。

項目1:色あせ・変色はないか

建物全体、または一部分の色が薄くなっていないか確認します。
新築時や前回塗装時の写真があれば、比べてみると分かりやすいでしょう。

特に日当たりの良い南側や西側で目立つことが多く、北側との色の違いが大きい場合は、紫外線による劣化が進んでいる可能性があります。

色あせ自体はすぐに問題になるわけではありませんが、塗膜の防水機能が低下し始めている初期段階といえます。

項目2:チョーキング現象は発生しているか

チョーキング

外壁を手で軽く触ったとき、白っぽい粉や色のついた粉が手につく状態をチョーキングと呼びます。
これは塗料の成分が劣化して粉状になっている状態です。

東西南北すべての面で確認してください。
一面だけでなく複数の面で粉がつくようなら、塗装のメンテナンス時期が近づいているサインです。

触った後は手を洗えば落ちますので、安心して確認してみてください。

専門家からのアドバイスチョーキングは塗膜劣化の分かりやすいサインです。
ただし、雨の日や外壁が濡れているときは正確に確認できません。
必ず乾いた状態で触ってチェックしましょう。

項目3:カビ・コケ・藻の発生はないか

外壁苔

日当たりの悪い北側や、植栽に近い箇所に緑や黒っぽい汚れが見られたら、カビやコケの可能性があります。

表面だけの汚れなら洗浄で対応できることもありますが、外壁が水分を吸いやすくなっている、つまり防水機能が低下しているサインでもあります。

特に、広範囲にわたって発生している場合や、年々増えている場合は注意が必要です。

項目4:汚れや雨だれの跡が目立つか

雨だれ

窓の下や換気口周辺、庇の下などに黒い筋状の汚れ(雨だれ)が目立つ場合、外壁の防水性能が落ちて汚れを吸着しやすくなっています。

新しい外壁は水をはじくため、雨だれがついても流れやすいのですが、劣化すると汚れが残りやすくなります。

汚れ自体は見た目の問題ですが、防水機能の低下を示す分かりやすい指標になります。

項目5:塗装の剥がれや膨れはないか

サイディング膨れ

塗装がめくれていたり、ぷっくりと膨らんでいる箇所がないか、近づいて確認します。

剥がれや膨れは、塗膜が外壁材から浮いている状態で、そこから雨水が入り込むとさらに範囲が広がる可能性があります。

小さな剥がれでも、放置すると広がることが多いため、見つけたら位置を記録しておきましょう。

基本チェック②:ひび割れの確認(5項目)

ひび割れは外壁劣化の中でも特に注意が必要な症状です。
大きさや場所によって緊急度が異なりますので、丁寧に確認していきます。

項目6:ヘアークラック(細いひび割れ)はあるか

髪の毛ほどの細さ、幅0.3mm未満のひび割れをヘアークラックといいます。
塗膜表面だけに生じているものが多く、すぐに建物に影響するものではありません。

ただし、数が増えていないか、幅が広がっていないかを定期的に観察する必要があります。

項目7:構造クラック(太いひび割れ)はあるか

クラック
サイディング・ひび割れ(クラック)

幅0.3mm以上のひび割れは、建物内部まで到達している可能性があります。
名刺の厚み(約0.3mm)を目安に、それが入るようなら要注意です。

特に横方向や斜めのひび割れ、窓の四隅から伸びるひび割れには注意が必要で、雨水が浸入する経路になりやすいといえます。

項目8:ひび割れの長さはどのくらいか

ひび割れの幅だけでなく、長さも確認します。
短いひび割れが複数あるのか、長いひび割れが数本あるのかによって、対処方法が変わってきます。

1メートル以上の長いひび割れがある場合は、写真に収めて専門業者に見てもらうことをおすすめします。

項目9:ひび割れの場所はどこか

ひび割れが発生している場所も重要です。
窓の四隅、開口部周辺、外壁の角、基礎との接続部などは、構造上ひび割れが起きやすい箇所です。

これらの場所のひび割れは、建物の動きや応力が集中することで生じることが多く、注意深く観察する必要があります。

項目10:基礎部分のひび割れはあるか

外壁だけでなく、建物の基礎コンクリート部分も確認しましょう。
基礎のひび割れは建物全体の構造に関わることもあるため、見つけたら早めに相談することをおすすめします。

特に、水平方向の長いひび割れや、段差を伴うひび割れは要注意です。

基本チェック③:目地・コーキング(5項目)

サイディング外壁の継ぎ目や窓枠周辺のコーキング(シーリング)は、防水の要となる部分です。
ゴム状の材料が劣化すると、そこから雨水が浸入しやすくなります。

項目11:コーキング材にひび割れはないか

シーリング劣化
シーリング劣化

サイディングボードの継ぎ目や窓枠周辺のゴム状の部分を確認します。
細かいひび割れや切れ目があると、そこから雨水が建物内部に入り込む可能性があります。

表面のひび割れだけでも、防水機能は低下しています。

項目12:コーキング材が痩せていないか

コーキングが細くなっていたり、外壁材から離れて隙間ができている状態を「痩せ」といいます。
新築時や施工直後と比べて、明らかに細くなっていたら劣化のサインです。

指で押してみて、弾力がなく固くなっている場合も要注意です。

重要ポイントコーキングの寿命は一般的に7〜10年程度といわれています。
外壁塗装より先に劣化することも多いため、塗装と同時にコーキングの打ち替えを検討することが多いです。

項目13:コーキング材が剥がれていないか

コーキングが外壁材から完全に剥がれて、隙間が見えている状態です。
これは最も危険な状態で、雨水が直接建物内部に入り込みやすくなっています。

窓枠周辺、特に雨がかかりやすい上部のコーキングは要チェックです。

項目14:コーキング材が変色していないか

黒ずんだり、茶色く変色している場合、材料の劣化が進んでいます。
まだ機能している場合もありますが、交換時期が近づいているサインです。

特に日当たりの良い南側や西側で変色が目立つことが多いでしょう。

項目15:コーキングから水が染み出た跡はないか

コーキング周辺の外壁に水が染み出たような跡や、カビのような汚れがある場合、すでに雨水が浸入している可能性があります。

コーキングの劣化は外からは見えなくても、内部で進行していることもあるため、このような跡を見つけたら早めの対応をおすすめします。

記録に残す写真撮影の方法

点検した内容は、写真で記録しておくことを強くおすすめします。
数ヶ月後、1年後に見比べることで、劣化の進行具合が明確に分かります。

基本的な撮影方法
建物全体を東西南北の四方向から撮影します。
それぞれ、建物全体が写るように少し離れた位置から撮りましょう。

次に、気になる箇所は近づいて詳細を撮影します。
ひび割れやコーキングの劣化など、具体的な症状が分かるように撮ってください。

日付と場所を記録する
スマートフォンの設定で撮影日時を記録するか、写真アプリで後から日付を確認できるようにしておきます。
どの面を撮影したか分かるように、「南側外壁」「東側窓下」などのメモも残しましょう。

定点観察のコツ
可能であれば、同じ時間帯、同じ角度から撮影すると変化が分かりやすくなります。
立ち位置の目印(この木の前から撮る、など)を決めておくと良いでしょう。

スケールを入れる
ひび割れの大きさを記録したいときは、定規や硬貨、名刺などを添えて撮影すると、後から見返したときに大きさが分かります。

これらの記録は、業者に相談する際の貴重な参考資料になります。

後編の内容と次のステップ

前編では、外壁点検の基本となる15項目を確認しました。
外壁表面の状態、ひび割れ、コーキングという3つの大きなカテゴリーで、最も重要な項目をお伝えしました。

後編で取り上げる内容
・金属部分のサビと腐食(5項目)
・外壁材本体の状態(5項目)
・雨樋と付帯部の確認(3項目)
・茅ヶ崎特有の塩害チェック(2項目)
・症状の緊急度判定と専門業者への相談タイミング

後編では、より専門的な視点での確認項目と、茅ヶ崎という海沿いのエリア特有の塩害対策について詳しく解説します。

前編でチェックした項目で気になる症状が見つかった方は、写真を撮って記録しておいてください。
後編の内容と合わせることで、ご自宅の外壁状態をより正確に把握できるはずです。

定期的な確認と適切なタイミングでのメンテナンスが、建物を長持ちさせる秘訣です。
茅ヶ崎での外壁診断や塗装のご相談は、ハーモニーホームがお手伝いいたします。

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