住宅外壁材の主要9種類|材質別の特徴と環境適性を解説

外壁材チェック

住宅の外壁には様々な材質があり、それぞれ異なる特徴を持っています。
現在の住宅建築では、主に9種類の外壁材が使用されており、これらの材質を知ることで建物に適した外壁選択の参考になります。

外壁材は大きく4つのカテゴリーに分類されます。
工場で製造されるサイディング系、現場で塗り仕上げるモルタル・左官系、焼成品であるタイル・石材系、そして特殊な構造を持つその他の外壁材です。

サイディング系外壁材(3種類)

サイディングは工場で製造される板状の外壁材で、現在の住宅で最も多く使用されています。

1. 窯業系サイディング

窯業系サイディング
窯業系サイディング

材質の特徴
セメントと繊維質(パルプ、木繊維など)を主原料として板状に成型し、高温で養生した外壁材です。
表面には塗装やエンボス加工を施し、レンガ調やタイル調など様々なデザインが可能です。
日本の住宅の約70%で使用される最も一般的な外壁材です。

構造
厚さは12mm〜18mmが一般的で、内部は均質な密度を持つセメント系材料で構成されています。
表面の塗装層が防水性を担っており、この塗膜の性能が耐久性を大きく左右します。

環境適性
セメント系材料のため塩害による直接的な腐食はありませんが、表面塗装の劣化により内部への水分侵入リスクがあります。
10〜15年周期での塗装メンテナンスが必要です。

2. 金属系サイディング

金属系サイディング
金属系サイディング

材質の特徴
ガルバリウム鋼板、アルミニウム、ステンレスなどの金属板を表面材とし、裏面に断熱材を貼り合わせた外壁材です。
軽量で断熱性に優れ、シャープでモダンな外観が特徴です。

構造
表面の金属板(0.3〜0.5mm)、接着層、断熱材(硬質ウレタンフォームなど)の3層構造が基本です。
金属の種類により耐食性が大きく異なります。

環境適性
金属材料のため塩害による腐食リスクがあります。
特にガルバリウム鋼板は海岸近くでは錆が発生しやすく、ステンレスやアルミニウム系の方が適しています。

3. 樹脂系サイディング

樹脂系サイディング
樹脂系サイディング

材質の特徴
塩化ビニル樹脂を主原料とした外壁材で、北米では広く普及しています。
樹脂そのものの色で着色されているため、塗装による表面仕上げが不要です。
日本ではまだ普及率は低いですが、メンテナンス性の高さから注目されています。

構造
厚さ1〜2mmの塩化ビニル樹脂板で、内部は均質な樹脂材料です。
表面には木目調やストライプ調などのエンボス加工が施されています。

環境適性
樹脂材料のため塩害による腐食が起こらず、海沿いの環境に非常に適しています。
塗装メンテナンスも不要で、長期間安定した性能を保てます。

モルタル系外壁材(1種類)

現場で職人が塗り仕上げる外壁材で、自由な造形と質感表現が可能です。

4. モルタル塗り壁

モルタル外壁
モルタル外壁

材質の特徴
セメント、砂、水を混合したモルタルを下地とし、表面に樹脂系仕上げ材を塗布する外壁です。
リシン、スタッコ、吹き付けタイルなど様々な仕上げ方法があります。
継ぎ目のない一体的な外壁面を作ることができます。

構造
防水紙、ラス網、モルタル下地(20〜30mm)、仕上げ材(3〜5mm)の多層構造です。
仕上げ材の種類により表面の質感と性能が決まります。

環境適性
セメント系材料のため塩害による直接的な影響は少ないですが、ひび割れから塩分が侵入する可能性があります。
ひび割れしにくい弾性仕上げ材の選択が重要です。

タイル・石材系外壁材(3種類)

高い耐久性と美観を持つ外壁材です。

5. タイル

タイル外壁
タイル外壁

材質の特徴
粘土、長石、珪石などを高温(1000〜1300℃)で焼成した板状の建材です。
焼成温度と原料により、陶器質、せっ器質、磁器質に分類されます。
傷がつきにくく、汚れも付着しにくい優れた表面性能を持ちます。

構造
厚さ6〜20mmのタイル本体と、下地との接着に使用するモルタルまたは接着剤で構成されます。
表面は釉薬仕上げまたは素地仕上げがあります。

環境適性
焼成により化学的に安定した材料のため、塩害に対して非常に優れた耐性を持ちます。
メンテナンスは主に目地部分のみで、タイル本体は半永久的に使用できます。

💡 タイルの分類
磁器質タイル(吸水率1%以下):最も緻密で耐久性が高い
せっ器質タイル(吸水率1〜5%):中間的な性能でバランスが良い
陶器質タイル(吸水率10〜20%):多孔質で調湿効果がある

6. レンガ

レンガ外壁
レンガ外壁

材質の特徴
粘土を焼成した建材で、古くから世界中で使用されています。
優れた蓄熱性と耐久性を持ち、経年変化による風合いの向上も魅力です。
ヨーロッパでは数百年使用されている建物も多く存在します。

構造
厚さ50〜100mmのレンガ単体と、積み上げに使用するモルタル目地で構成されます。
内部は多孔質構造で、断熱性と調湿性を持ちます。

環境適性
焼成品のため塩害に強く、100年を超える耐久性を持ちます。
目地モルタルの劣化に注意すれば、ほぼメンテナンスフリーで使用できます。

7. 天然石

天然石(御影石)外壁
天然石(御影石)外壁

材質の特徴
御影石、大理石、砂岩、石灰岩など、天然の岩石を切り出して加工した外壁材です。
石種により硬度、耐候性、色彩が大きく異なります。
最高級の質感と耐久性を持つ外壁材として位置づけられます。

構造
厚さ20〜50mmの石材と、取付用の金具または接着材で構成されます。
表面仕上げには本磨き、水磨き、ノミ切り、割肌などがあります。

環境適性
石種により塩害への耐性が異なります。
花崗岩系は非常に強く、石灰岩系は多孔質のため環境の影響を受けやすくなります。

その他の外壁材(2種類)

特殊な構造や機能を持つ外壁材です。

8. ALC(軽量気泡コンクリート)

ALC
ALC

材質の特徴
珪石、セメント、生石灰、アルミ粉末を主原料とし、高温高圧蒸気養生により製造される軽量コンクリートです。
内部に無数の気泡を含み、軽量性と断熱性を両立しています。
ビルから住宅まで幅広く使用される建材です。

構造
厚さ35〜100mmのパネル状で、内部に鉄筋やスチールメッシュが配置されています。
気泡率は約80%で、通常のコンクリートの1/4の重量です。

環境適性
多孔質構造のため吸水しやすく、塩分が侵入すると内部の鉄筋が腐食する可能性があります。
高性能な防水塗装による表面保護が重要です。

9. コンクリート打ち放し

コンクリート打ちっぱなし

材質の特徴
鉄筋コンクリート構造体をそのまま外壁として使用する工法です。
セメント、砂、砂利、水で構成される人工石材で、型枠の材質により表面質感が決まります。
建築家による住宅やマンションでよく採用されるデザイン性の高い仕上げです。

構造
厚さ120〜200mmの鉄筋コンクリート躯体そのもので、表面には型枠の痕跡が残ります。
内部には鉄筋が配置されており、構造体としての機能も担います。

環境適性
セメント系材料のため塩害により中性化が進み、内部鉄筋の腐食リスクがあります。
表面保護材による定期的な保護処理が必要です。

環境による材質の適性

外壁材の材質により、環境条件への適性が大きく異なります。

塩害環境での材質特性

塩害に強い材質
樹脂系サイディング、天然石(花崗岩系)は塩害にほとんど影響を受けません。
タイル、レンガは本体は強いですが目地モルタルの白華現象に注意が必要です。

注意が必要な材質
金属系サイディング(特に鉄系)、ALC、コンクリート打ち放しは塩害により劣化が進みやすい材質です。
海沿いでは頻繁な点検と早期のメンテナンスが重要になります。

⚠️ 材質選択のポイント
環境条件(海からの距離、風向き、湿度など)を考慮して、その立地に適した材質を選択することが重要です。同じ材質でも表面処理により性能が大きく変わる場合があります。

気象条件による影響

紫外線への耐性
樹脂系材料や塗装面は紫外線により劣化します。
焼成品(タイル、レンガ)や天然石は紫外線の影響をほとんど受けません。

温度変化への対応
金属系は熱膨張が大きく、目地部分の処理が重要になります。
コンクリート系や石材系は熱膨張が小さく安定しています。

湿度・結露への対応
多孔質材料(ALC)は調湿機能を持ちます。
非透湿材料(金属系、樹脂系)は結露対策が必要です。

メンテナンス特性

メンテナンス頻度の少ない材質
タイル、レンガ、天然石、樹脂系サイディングは長期間メンテナンスが不要です。

定期メンテナンスが必要な材質
窯業系サイディング、金属系サイディング、モルタル塗り壁、ALC、コンクリート打ち放しは10〜15年周期でのメンテナンスが必要です。

専門的なメンテナンスが必要な材質
天然石は石種により専門的な保護処理が必要な場合があります。

住宅外壁材の主要9種類について、それぞれの材質特性と環境適性を解説しました。
建物の立地条件、予算、デザイン性、メンテナンス性などを総合的に考慮して、最適な外壁材を選択することが重要です。

外壁材は建物の外観を決めるだけでなく、長期的な建物の性能と資産価値に大きく影響します。
それぞれの材質の特徴を理解し、環境条件との相性を考慮した選択が、快適で美しい住まいの実現につながります。

外壁材に関するより詳しい情報が必要でしたら、ハーモニーホームまでお気軽にお問い合わせください。

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