サイディング外壁のひび割れが危険な理由|茅ヶ崎市での劣化リスクと対策

サイディング クラック

ご自宅のサイディング外壁に、ひび割れや目地の隙間を見つけて、心配になっていませんか。

※この記事は、サイディング外壁のお住まいを対象とした内容です。モルタル・コンクリート外壁の方は別の記事をご参照ください。

サイディングは日本の住宅で最も多く使用されている外壁材で、約8割の戸建て住宅に採用されていると言われています。
デザイン性が高くコストパフォーマンスにも優れた人気の外壁材ですが、サイディング本体のひび割れだけでなく、目地に充填されているシーリング材の劣化にも注意が必要です。

茅ヶ崎市のような海に近い地域では、潮風による塩害や湿気、そして冬季の凍結など、サイディングにとって厳しい環境条件が揃っています。
この記事では、サイディング外壁特有のひび割れリスクと、茅ヶ崎市の気候がもたらす影響、そして早期対応の重要性について、現場での経験を交えながらお伝えしていきます。

サイディング外壁特有のひび割れリスク

サイディング外壁は、モルタルやコンクリートとは異なる材質と構造を持っているため、独自のひび割れリスクがあります。
サイディングの特性を理解しておくことで、どのような劣化症状に注意すべきかが見えてくるかもしれません。

窯業系サイディングの特性

現在の住宅で最も多く使用されているのが窯業系サイディングです。
セメントに繊維質を混ぜて板状に形成し、窯で高熱処理を施した外壁材で、タイル調や木目調など様々なデザインから選べる点が人気の理由となっています。

しかし、窯業系サイディングには大きな弱点があります。
それは吸水性が高く水に弱いという特性です。
サイディング本体は防水性を持たないため、表面の塗装によって防水機能を確保している構造になっています。

この塗装が劣化すると、サイディングは水を吸収しやすい状態になってしまいます。
雨の日に水を吸って膨張し、晴れて乾くと収縮するという動きを繰り返すことで、少しずつ負荷がかかり、やがてひび割れが発生する可能性があります。

サイディングの構造的な特徴

サイディング外壁は、複数の板状のパネルを組み合わせて施工されています。
各パネルの継ぎ目には必ず目地ができるため、そこをシーリング材と呼ばれるゴム状の材料で埋めて雨水の浸入を防いでいます。

この目地のシーリングは、地震や気温変化による建物の動きを吸収する緩衝材としての役割も果たしています。
外壁材同士が衝突して破損しないよう、柔軟性と弾力性を持ったシーリング材が目地を埋めているのです。

しかし、シーリング材は建材の中でも耐用年数が短い部類に入ります。
一般的に3〜10年程度で経年劣化を起こし、ひび割れや剥離といった症状が現れるようになります。

目地シーリングの劣化が最も危険な理由

サイディング外壁において、実は最も注意が必要なのは目地部分のシーリング劣化です。
サイディング本体のひび割れよりも、シーリングの劣化の方が早く進行し、建物への影響も大きくなる可能性があります。

シーリング劣化の3つのパターン

シーリングの劣化には、段階的に進行する典型的なパターンがあります。

まず第一段階として、シーリングの端が切れてくる症状が見られます。
サイディングとの接着部分が剥がれ始め、小さな隙間ができる状態です。
正面から見ないと分かりにくいこともあり、見落としやすい初期症状と言えます。

次に進行すると、シーリング本体にひび割れが発生します。
これは紫外線による劣化が主な原因で、シーリング材が硬化して柔軟性を失った結果です。
特に日当たりの良い南面は劣化のスピードが速く、2階部分では知らないうちにひび割れが進行していることもあります。

さらに劣化が進むと、シーリングが完全に切れて両端が剥がれてしまいます。
この状態になると雨水が直接サイディングの裏側に回り込み、建物内部への水の浸入リスクが高まります。

シーリングの寿命と交換時期

新築時に使用される変成シリコン系のシーリング材は、比較的早く劣化が進む傾向があります。
築7〜10年程度で目に見える劣化症状が現れることも珍しくありません。

シーリング材の耐用年数は使用する材料によって異なりますが、一般的なもので5〜10年程度とされています。
南面や西面など紫外線の影響を強く受ける場所では、さらに短くなることもあります。

外壁塗装よりもシーリングの方が先に劣化することが多いため、外壁全体の塗り替えを検討する前に、目地のシーリングだけでも点検しておくことが望ましいかもしれません。

専門家からのアドバイス
シーリングの劣化を放置すると、サイディングボードの反りや浮き、ひび割れへと進行していきます。
シーリングの補修費用は、サイディング本体の張り替えと比べて大幅に安く済みます。
早めの点検とメンテナンスが、結果的に大きな費用を抑えることにつながります。

サイディング本体のひび割れと症状

目地のシーリング劣化と並んで注意が必要なのが、サイディングボード本体のひび割れです。
サイディングのひび割れには、軽微なものから緊急性の高いものまで様々な症状があります。

ヘアークラック(0.3mm未満)

サイディング クラック

幅0.3mm未満の髪の毛のように細いひび割れは、ヘアークラックと呼ばれます。
主に塗膜の経年劣化によって発生するもので、サイディング本体の構造にまで影響していることは少ないとされています。

ヘアークラックは早急に補修する必要はないものの、放置すると徐々に広がって構造クラックに発展する可能性があります。
この段階であれば、外壁塗装のタイミングで対応を検討するという選択肢もあります。

築7〜10年程度でヘアークラックが発生することもあり、これは塗膜の撥水性が失われている証拠とも言えます。

構造クラック(0.3mm以上)

クラック
サイディング・ひび割れ(クラック)

幅0.3mm以上のひび割れは構造クラックとして分類され、サイディング本体が深部まで割れている可能性が高い状態です。
このレベルのひび割れになると、早急な補修が必要とされています。

構造クラックからは雨水が侵入しやすく、サイディングの耐久性を低下させるだけでなく、建物内部の木材を腐食させる原因にもなります。
放置すれば雨漏りや躯体の腐食につながり、最悪の場合は建物が倒壊する危険性もあると言われています。

サイディングの構造クラックは、窓やサッシの周辺、釘やビスの周辺、そして南面など紫外線があたりやすい場所に発生する傾向があります。

サイディングの反り・浮き

サイディング反り反り2

ひび割れとは別に、サイディングが弓状に反ったり、壁から浮き上がったりする症状も注意が必要です。
サイディングが吸水と乾燥を繰り返すことで徐々に変形していき、反りから浮き、そしてひび割れや割れへと進行していきます。

反りや浮きが発生しているということは、すでにサイディングの防水性が低下している証拠です。
変形したサイディングボードを元の形に戻すことはできないため、変形の程度によっては部分的な張り替えが必要になることもあります。

茅ヶ崎市の気候がサイディングに与える影響

茅ヶ崎市のような相模湾に面した地域では、サイディング外壁にとって厳しい環境条件がいくつか揃っています。
地域特有のリスク要因を理解しておくことで、適切なメンテナンス計画を立てることができるかもしれません。

潮風による塩害

海に近い茅ヶ崎市では、潮風に含まれる塩分がサイディングに付着します。
塩分は金属部分の腐食を促進するため、釘やビスで固定されている部分の劣化が早まる可能性があります。

釘やビスの頭には通常シーリング材や塗料でタッチアップ処理がされていますが、塗料が剥がれるとそこから水が浸透していきます。
金属部分は他の部分より塗料が剥がれやすく、海に近い地域では特に注意が必要な箇所です。

また、シーリングの劣化も内陸部と比べて早まる傾向があるため、定期的な点検がより重要になってきます。

冬季の凍害リスク

茅ヶ崎市でも冬の早朝には気温が氷点下になることがあります。
サイディングのひび割れや目地の隙間に浸入した水分が夜間に凍結すると、氷の膨張によって内側から圧迫される「凍害」が発生する可能性があります。

特に窓サッシの下の隅など、水が集まりやすい場所は凍害のリスクが高まります。
最初は小さかったひび割れが、凍結と融解を繰り返すことでどんどん大きくなっていくケースもあります。

凍害によってひび割れが拡大すると、最終的にはサイディングボードの張り替えが必要になることもあるため、小さなひび割れでも放置は危険です。

湿気と直貼り工法のリスク

2000年頃までに建てられた住宅では、サイディングを透湿防水シートの上に直接貼る「直貼り工法」が採用されていることがあります。
現在主流の「通気工法」と異なり、直貼り工法には通気層がないため湿気がこもりやすいという問題があります。

茅ヶ崎市のような海に近い地域は湿度が高くなりやすく、直貼り工法の住宅では壁内部に結露が発生しやすい環境と言えます。
サイディングが裏側から吸水してしまうと、反りや浮き、ひび割れが進行しやすくなります。

茅ヶ崎市でのサイディング外壁の注意点
海沿い特有の塩害、冬季の凍害リスク、高湿度環境など、茅ヶ崎市のサイディング外壁は複合的な劣化要因にさらされています。
内陸部の住宅と比べて劣化スピードが速い可能性があるため、定期的な点検とメンテナンスがより重要です。
気になる症状を見つけたら、早めに専門業者に相談することをお勧めします。

放置すると起こる段階的な劣化

サイディング外壁のひび割れやシーリングの劣化を放置した場合、どのような変化が起こる可能性があるのでしょうか。
被害の進行過程を知っておくことで、早期対応の重要性が理解できるかもしれません。

第一段階:雨水の浸入

ひび割れや目地の隙間から、まず雨水がサイディングの裏側に回り込み始めます。
サイディング本体は吸水性が高いため、断面から水分を吸収していきます。

目地部分は特に雨水が伝ってきやすい場所で、2階建ての住宅では軒天から基礎まで一直線に目地が続いているケースもあります。
シーリングが劣化していると、この目地から大量の水分が浸入することになります。

第二段階:サイディングの変形

水を吸ったサイディングは膨張し、乾燥すると収縮します。
この膨張と収縮を繰り返すことで、サイディングボードに徐々に変形が生じていきます。

最初は軽微な反りから始まり、やがて浮き、さらにひび割れへと進行していきます。
変形が進むとサイディングを固定している釘やビスに負荷がかかり、ひび割れの原因になったり、固定具が抜けてしまったりすることもあります。

第三段階:内部木材の腐食

サイディングの裏側に回り込んだ雨水は、さらに建物内部へと浸入していきます。
家の構造を支える柱や梁といった木材が湿った状態になると、腐食が始まる可能性があります。

湿った木材はシロアリにとって好都合な環境です。
シロアリは柱などの木材を食害し、建物を弱らせていきます。
地震などの際に倒壊の原因となることもあるため、非常に深刻な事態と言えます。

最終段階:大規模な補修工事

外壁 樹脂 カバー工法

内部の木材まで被害が及ぶと、もはやサイディングの補修だけでは済まなくなります。
腐食した構造材の交換、雨漏り箇所の特定と補修、サイディングの張り替えなど、大規模な工事が必要になることがあります。

初期段階でシーリングの打ち替えや軽微なひび割れ補修をしておけば数万円〜十数万円で済んだものが、放置することで数百万円の工事費用が必要になるケースもあります。

重要な警告
サイディングのひび割れを「少し様子を見よう」と後回しにした結果、翌年には大きく割れてサイディングの張り替えが必要になったという事例もあります。
凍害や吸水・乾燥の繰り返しによる劣化は、思っているよりも早く進行することがあります。
小さなひび割れのうちに対処することが、結果的に大きな費用を抑えることにつながります。

ひび割れや劣化を見つけたら行うべきこと

サイディング外壁にひび割れや目地の劣化を発見した場合、どのように対応すればよいのでしょうか。
適切な手順で確認と対策を進めていくことが大切です。

まずは自分で確認できる範囲のチェック

気になる症状を発見したら、まずは住宅全体をぐるりと見て回ってみてください。
特に以下の箇所は劣化が発生しやすい部分です。

サイディング同士の目地部分を見て、シーリングにひび割れや隙間がないか確認します。
特に南面や西面など日当たりの良い場所は劣化が早い傾向があります。

窓やドアの周辺、換気口などの開口部周りもチェックポイントです。
これらの部分は建物の動きによる負荷がかかりやすく、ひび割れが発生しやすい場所とされています。

サイディングボード自体に、明らかなひび割れや反り、浮きがないかも確認してください。
釘やビスの周辺も注意深く見ておくと良いでしょう。

専門業者による診断

自分で確認して気になる症状が見つかった場合、あるいは築年数が7年以上経過している場合は、専門業者に診断を依頼することをお勧めします。

外壁塗装や建物診断の専門家は、高所や見えにくい場所も含めて、建物全体の状態を適切に判断できる知識と経験を持っています。
シーリングの劣化度合い、サイディング本体の状態、補修の必要性と優先順位などを総合的に評価してもらえます。

診断の結果、すぐに補修が必要という判断になった場合でも、複数の業者から見積もりを取って比較検討することが望ましいです。
補修方法や使用する材料、費用には業者によって違いがあるため、説明をよく聞いて納得できる選択をすることが大切です。

サイディングの補修方法

サイディング外壁の補修方法は、症状の程度によって異なります。

軽微なヘアークラックであれば、外壁塗装で補修できることが多いです。
弾性のある塗料でひび割れを埋めるように塗装することで、ひび割れの進行を抑えることができます。

構造クラックの場合は、ひび割れ部分をV字型にカットしてシーリング材を充填する「Vカット工法」が用いられることがあります。
補修後に外壁塗装を行うことで、補修跡を目立たなくすることもできます。

目地のシーリングは、劣化の程度に応じて「打ち増し」または「打ち替え」が行われます。
打ち増しは既存のシーリングの上から新しいシーリングを追加する方法で、打ち替えは古いシーリングを完全に除去して新しく充填する方法です。

サイディングボードの反りや割れがひどい場合は、部分的な張り替えが必要になることもあります。
同じデザインのサイディングがあれば良いのですが、築年数が経っていると廃盤になっていることも多く、似たデザインを選ぶことになる場合もあります。

補修のタイミングと費用

外壁塗装は一般的に築10〜15年程度で必要になりますが、シーリングはそれよりも早く劣化することが多いです。
築7〜10年程度でシーリングの点検を行い、必要に応じて補修しておくことが推奨されています。

シーリングの打ち替え費用は、戸建て住宅1棟あたり10〜15万円程度が相場とされています。
外壁塗装と同時に行う場合は、足場代(15〜20万円程度)を共有できるため、トータルで見ると効率的です。

サイディングの部分補修であれば数万円程度、全面張り替えになると150〜270万円程度の費用がかかることもあります。
カバー工法(既存のサイディングの上に新しいサイディングを重ね張り)の場合は、110〜220万円程度が相場と言われています。

サイディング外壁のひび割れや目地の劣化は、早めに発見して適切に対応することで、建物を長持ちさせることができます。
特に茅ヶ崎市のような海沿いの地域では、塩害や湿気の影響で劣化が早まる可能性があるため、定期的な点検がより重要です。

気になる症状を見つけたら、それが建物からの重要なメッセージだと捉えて、専門家に相談してみることをお勧めします。
小さなひび割れやシーリングの劣化のうちに対処しておくことが、将来の大きな出費を防ぐことにつながります。

※今回はサイディング外壁のひび割れと劣化についてお伝えしました。モルタル・コンクリート外壁の構造クラックについては、別の記事で詳しく解説していますので、そちらもご参照ください。

茅ヶ崎市でのサイディング外壁の診断やひび割れ・シーリング補修は、ハーモニーホームにご相談ください。

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※今回はサイディング外壁のひび割れと劣化についてお伝えしました。モルタル・コンクリート外壁の構造クラックについては、別の記事で詳しく解説していますので、そちらもご参照ください。

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