外壁塗装の仕上がりを左右する艶選び|特徴と選び方のポイント

塗料 艶 比較

外壁塗装の色を決めた後、多くの方が次に悩まれるのが「艶をどうするか」という選択ではないでしょうか。
「ピカピカした新築のような輝きが欲しい」という方もいれば、「落ち着いたマットな質感にしたい」という方もいらっしゃいます。
実際の現場でも、この艶の選択については本当にさまざまなご希望をいただきます。

ただ、外壁塗装の情報を調べていると「艶ありの方が耐久性が高い」といった記事を目にして、かえって迷ってしまうこともあるかもしれません。
見た目の好みと機能性、どちらを優先すべきなのか判断に困りますよね。

この記事では、艶あり・艶なしそれぞれの特徴や、実際の耐久性の違い、そしてお住まいに合った選び方について、現場の経験を交えながら解説していきます。
納得のいく塗料選びの参考にしていただければ幸いです。

外壁塗装における「艶」とは

外壁塗装でいう「艶」とは、塗装した表面がどれくらい光を反射するかを表す性質のことです。
新しくワックスをかけた床がピカピカと輝くように、外壁の塗料にも光を反射する度合いがあります。

艶の段階と測定方法

実は、外壁塗装における艶の有無には、明確な業界基準が定まっていないという事情があります。
過去に基準を設けようとした動きもあったようですが、現場での浸透には至らなかったようです。

ただ、一般的な目安として、塗料の艶は5段階に分類されています。
測定方法としては、塗膜に60度の角度から100%の光を当てたとき、正反射した光が反対側にどれだけ届くかで判定されます。
この数値を光沢度、またはグロス値と呼んでいます。

艶の5段階分類

艶あり(全艶):光沢度70%以上
ピカピカと輝く新築のような仕上がりになります。
光の反射が強く、外壁が美しく映える印象です。

7分艶:光沢度55~65%前後
適度な光沢があり、艶ありと比べるとやや控えめな輝きです。
バランスの取れた仕上がりとして選ばれることが多いようです。

5分艶(半艶):光沢度30~40%前後
中間的な艶感で、落ち着いた印象になります。
艶ありと艶なしの良いところを取ったような仕上がりです。

3分艶:光沢度10~20%前後
わずかな光沢を残した状態です。
ほぼマットに近い質感ながら、完全な艶消しよりは少し光沢があります。

艶消し(艶なし):光沢度5%以下
光をほとんど反射しないマットな仕上がりです。
落ち着いた高級感のある質感になります。

注意点
「7分艶」や「5分艶」という名称から、反射率が70%、50%のように思われがちですが、実際の数値はそれよりも低くなります。
また、すべての塗料で5段階すべてが選べるわけではありません。
メーカーや塗料の種類によっては、艶消しができないものや、逆に艶ありがないものもあります。

艶の見え方の違い

艶ありの外壁は、太陽光などの光源から正反射した光が目に多く届くため、ピカピカと輝いて見えます。
一方、艶なしの外壁は光を乱反射させるため、目に入る光の量が少なくなり、まぶしさを感じにくい落ち着いた印象になります。

この見え方の違いは、塗膜表面の凹凸の有無によるものです。
艶ありは表面が滑らかで平らなのに対し、艶なしは微細な凹凸がある構造になっているため、光の反射の仕方が変わってくるわけです。

艶あり塗料の特徴とメリット・デメリット

艶あり塗料は、光沢のある仕上がりが特徴です。
新築のような輝きを求める方や、外壁の凹凸を強調したい方に選ばれています。

艶あり塗料のメリット

耐久性に優れている
艶あり塗料は、塗膜が緻密で丈夫な構造になっているため、劣化しにくいという特徴があります。
表面が滑らかなため、汚れや水分が付着しにくく、結果として塗膜の寿命が長くなる傾向があるようです。

汚れがつきにくい
表面がツルツルとしているため、砂ほこりや排ガスなどの汚れが付着しにくくなります。
また、雨水によって汚れが流れ落ちやすいという利点もあります。
海が近い茅ヶ崎のような環境では、塩分を含んだ汚れも比較的落ちやすいという側面があるかもしれません。

カビやコケが発生しにくい
撥水性が高いため、湿気の多い場所や日当たりの悪い部分でも、カビやコケの発生を抑える効果が期待できます。

塗料の選択肢が豊富
多くのメーカーが艶あり塗料を基本として製造しているため、選べる塗料の種類が豊富です。
さまざまなグレードや機能の中から、予算や目的に合ったものを選びやすいでしょう。

外壁の凹凸を強調できる
サイディングなどの外壁材の凹凸がはっきりと見えるため、立体感のある仕上がりになります。
外壁のデザイン性を活かしたい場合には適した選択といえそうです。

艶あり塗料のデメリット

艶は数年で落ち着いてくる
塗りたての美しい光沢は、およそ2~3年程度で徐々に落ち着いていく傾向があります。
永続的に輝き続けるわけではないという点は、理解しておきたいところです。

艶の度合いによっては安っぽく見えることも
外壁材の種類や色によっては、光沢が強すぎると安っぽい印象を与えてしまう場合があります。
特に明るい色や原色に近い色の場合は、艶ありよりも少し艶を抑えた方が上品に見えることもあるようです。

周囲から目立ちやすい
光の反射が強いため、周囲の建物との調和という点では、やや目立つ印象になります。
住宅街の雰囲気によっては、艶を抑えた方が自然に見える場合もあるでしょう。

艶なし塗料の特徴とメリット・デメリット

艶なし塗料は、マットで落ち着いた仕上がりが特徴です。
高級感や自然な雰囲気を求める方に選ばれています。

艶なし塗料のメリット

落ち着いた高級感のある仕上がり
光沢がないマットな質感は、控えめで上品な印象を与えます。
和風建築や、洗練されたモダンな住宅との相性が良いとされています。

経年変化が目立ちにくい
もともと光沢がないため、塗装後数年経っても見た目の変化が少なく感じられます。
艶ありのように「光沢が落ちてきた」という変化がない分、長期的に安定した印象を保てるともいえます。

周囲の景観に溶け込みやすい
光を反射しないため、周囲の建物や自然環境と調和しやすく、主張しすぎない外観になります。
住宅街の雰囲気を大切にしたい方には向いているかもしれません。

外壁の凹凸を目立たせない
光沢がないため、外壁の細かな傷や凹凸が目立ちにくくなります。
モルタル外壁など、表面の質感を活かしたい場合に適しています。

艶なし塗料のデメリット

汚れが付着しやすい
表面に微細な凹凸があるため、砂ほこりや排ガスなどの汚れが溜まりやすい傾向があります。
特に海が近い環境では、塩分を含んだ汚れへの配慮が必要になるかもしれません。

カビやコケが発生しやすい
撥水性が艶ありに比べて低いため、湿気の多い場所ではカビやコケが発生しやすくなる可能性があります。

塗料の選択肢が限られる
艶なし対応の塗料は、艶ありに比べると種類が少ない傾向にあります。
希望する機能やグレードの塗料が、艶なしでは選べないこともあるようです。

色によっては地味に見える
日当たりの悪い立地や暗めの色を選ぶと、想像以上に地味な印象になることがあります。
艶なしを選ぶ場合は、やや明るめの色を検討するのも一つの方法です。

艶あり・艶なしの耐久性の違い

外壁塗装を検討する際、気になるのが耐久性の違いではないでしょうか。
「艶ありの方が長持ちする」という話を聞いたことがある方も多いと思います。

実際の耐久性の違い

一般的に、艶あり塗料の方が艶なし塗料よりも1.5年~3年程度耐用年数が長いといわれています。
例えば、期待耐用年数が約10年のシリコン塗料の場合、15~30%程度の差が出る計算になります。

専門家からのアドバイス
ただし、耐用年数は塗装時の外壁の状態や環境条件によって大きく変わります。
例えば、すでにひび割れが発生している外壁に塗装した場合、艶の有無に関わらず期待される耐久性は得られません。
適切な下地処理を行った上で塗装することが、何よりも大切です。

なぜ耐久性に差が出るのか

艶ありの方が耐久性が高いとされる主な理由は、以下の点にあります。

表面が滑らかで汚れにくい
艶がある塗膜は表面が平らで滑らかなため、汚れが付着しにくく、雨水で流れ落ちやすい構造になっています。
汚れが常時付着していると、その中に含まれる水分が塗膜を劣化させる原因になりますが、艶ありの場合はそのリスクが低くなります。

塗膜が緻密
艶なし塗料は、艶ありの塗料に艶消し剤を混ぜて作られる場合が多く、その添加剤によって塗膜が多孔質になります。
結果として、経年劣化が進みやすくなる傾向があるようです。

艶消し技術の進化

ただし、塗料の技術は年々進化しているのも事実です。

艶消し塗料の製造技術は、以前と比べて大きく進歩してきています。
従来は艶ありの塗料に艶消し剤を混ぜるという方法が中心でしたが、現在では原料の段階から光沢の出にくい樹脂を選んだり、添加比や粒子径を細かく調整することで、より性能の高い艶消し塗料が作られるようになってきました。

また、製造段階での品質管理技術も向上しており、塗膜の均一性や安定性が以前よりも高まっているといわれています。

とはいえ、同じグレードの塗料で比較した場合、艶ありの方が基本的には耐久性や汚れにくさの面で優れているという点は変わりません。
艶消し塗料を選ぶ場合は、こうした特性を理解した上で、見た目の好みや建物の雰囲気との調和を優先するかどうかを判断することが大切です。

お住まいに合った艶の選び方

艶あり・艶なし、それぞれにメリットとデメリットがあることがわかりましたが、では実際にどのように選べばよいのでしょうか。

基本的な考え方

艶の選択は、最終的にはお施主様の好みや価値観によるところが大きいといえます。
ただ、いくつかのポイントを押さえておくと、より納得のいく選択ができるかもしれません。

建物の雰囲気に合わせる
和風建築や、モルタル仕上げの外壁には、艶なしのマットな質感が自然に馴染みます。
一方、モダンなデザインの住宅や、サイディング外壁の立体感を活かしたい場合は、艶ありや7分艶が向いているでしょう。

周辺環境との調和を考える
落ち着いた住宅街の場合は、艶なしや3分艶で周囲と調和させるのも一つの方法です。
反対に、新しい分譲地などで周囲の建物も新しい場合は、艶ありでも違和感が少ないかもしれません。

メンテナンス性を重視するか、雰囲気を重視するか
長期的な耐久性や汚れにくさを最優先するなら艶あり、落ち着いた雰囲気や高級感を重視するなら艶なしという選択もあるでしょう。
ただし、艶なしを選ぶ場合は、汚れやすさやメンテナンス頻度についても理解しておくことが大切です。

色との組み合わせ方

艶の選択は、色選びとも密接に関係しています。

艶ありを選ぶ場合
少し暗めの色を選ぶと、艶がありながらも落ち着いた雰囲気を演出できます。
濃いめのブラウンやグレーなどは、艶ありでも上品な印象になります。
明るい色や原色に近い色で艶ありを選ぶと、安っぽく見えたり、色褪せが目立ちやすくなることもあるようです。

艶なしを選ぶ場合
やや明るめの色を選ぶのがおすすめです。
艶なし塗料は光をほとんど反射しないため、日当たりの悪い場所では暗い印象になりがちです。
自分が選んだ色よりも、1トーン明るめを選ぶことで、ちょうど良い明るさになることもあります。

茅ヶ崎の環境での考慮点

海が近い茅ヶ崎では、塩害による影響も考慮しておきたいところです。

海からの潮風には塩分が含まれており、外壁に付着すると汚れの原因になります。
艶ありの方が汚れが流れ落ちやすいという特性は、こうした環境では大きな利点になります。
耐久性と汚れにくさの両面から考えると、海が近い地域では艶ありを選ぶのが基本的にはおすすめです。

艶選びで気をつけたいポイント

実際に艶を選ぶ際、いくつか注意しておきたい点があります。

必ず色見本で確認する

色や艶の見え方は、サンプルのサイズや見る環境によって大きく変わります。
できるだけ大きな色見本や塗り板サンプルを、必ず屋外の自然光の下で確認することをおすすめします。

室内の照明と屋外の太陽光では、艶の見え方がかなり異なります。
また、時間帯によっても印象が変わるため、朝・昼・夕方など、異なる時間帯で見てみるのも良いでしょう。

カラーシミュレーションや、実際に検討中の塗料で塗装した住宅を見せてもらうのも参考になります。

すべての塗料で艶が選べるわけではない

塗料の種類によっては、艶の調整に制限がある場合があります。

艶ありしかない塗料や、逆に艶なししかない塗料も存在します。
また、3分艶までしか調整できない塗料もあります。

希望する機能やグレードの塗料が、希望する艶に対応しているかどうか、事前に確認しておくことが大切です。

まとめ
外壁塗装の艶選びは、見た目の好みだけでなく、耐久性や汚れにくさ、周囲の環境など、さまざまな要素を考慮して決めることが大切です。
艶あり・艶なし、それぞれに良さがありますし、5分艶や3分艶といった中間の選択肢もあります。
機能面では艶ありの方が優れている傾向がありますが、落ち着いた雰囲気を重視する場合は艶なしも選択肢になるでしょう。
色見本で実際の仕上がりをイメージしながら、お住まいに最適な艶を見つけていただければと思います。

外壁塗装の艶選びは、お住まいの印象を大きく左右する重要なポイントです。
それぞれの特徴を理解した上で、ご自身やご家族の好み、建物の雰囲気、周辺環境などを総合的に考慮して選んでいただくのが良いでしょう。

判断に迷われる場合は、塗装のプロに相談してみるのも一つの方法です。
実際の施工例を見せてもらったり、お住まいの環境に応じたアドバイスをもらえるかもしれません。

塗装は10年に一度の大きなメンテナンスですから、じっくりと検討して、納得のいく仕上がりを目指していただければと思います。
茅ヶ崎での外壁塗装のご相談は、ハーモニーホームまでお気軽にどうぞ。

📞📝💬 お問い合わせはこちら