1. 外壁のシーリングとは何か
2. 茅ヶ崎の塩害がシーリングに与える影響
3. シーリング劣化のサインと見極め方
4. 海沿い地域に適したシーリング材の選び方
5. 交換時期とメンテナンスの考え方
6. 日頃からできるメンテナンスの心構え
外壁の目地に詰められている部分が、時間とともにひび割れたり痩せてきたりしていることに気づいたことはありませんか。
この部分はシーリング(コーキング)と呼ばれ、住まいを雨水から守る大切な役割を担っています。
特に茅ヶ崎のような海に近い地域では、この部分の劣化が内陸部よりも早く進むことがあるようです。
今回は、外壁のシーリングについて基本的なことから、茅ヶ崎特有の環境が与える影響まで、専門的な視点も交えながらお伝えしていきます。
外壁のシーリングとは何か

シーリングの役割と必要性
シーリングは、サイディングボードやALCパネルといった外壁材の継ぎ目を埋めるために使われるペースト状の材料です。
施工時は柔らかい状態ですが、時間とともに硬化してゴムのような弾力性を持つようになります。
外壁材の間には必ず隙間が存在していて、そこにシーリング材を充填することで、いくつかの重要な働きをしてくれています。
まず第一に、雨水が建物内部に入り込むのを防ぐ防水の役割があります。
外壁材同士の隙間から雨水が侵入すると、内部の防水シートや構造材にダメージを与える可能性があるためです。
もう一つの大切な役割が、地震や気温変化による外壁材の動きを吸収することです。
建物は日々の温度変化や地震の揺れなどで、わずかながら伸縮や変形を繰り返しています。
もし目地に何も詰められていなかったり、固い材料で埋められていたりすると、外壁材同士がぶつかり合って割れてしまう恐れがあります。
シーリング材は柔軟性があるため、このような動きに追従してくれるのです。
シーリングとコーキングの違い
外壁工事の話をしていると、業者によって「シーリング」と言ったり「コーキング」と言ったりすることがあります。
これらは厳密には由来が異なる言葉のようですが、現在の外壁塗装やメンテナンスの現場では、ほぼ同じ意味で使われていると考えて問題ありません。
業者や地域によって呼び方の好みが分かれているだけで、指しているものは同じです。
見積書や説明の際にどちらの言葉が使われていても、混乱する必要はありません。
茅ヶ崎の塩害がシーリングに与える影響
塩害環境とは
海からの風には目に見えない塩分が含まれていて、この塩分が建物にさまざまな影響を及ぼします。
一般的に海岸から5キロ圏内が塩害の影響を受けやすいとされていますが、風向きや地形によってはさらに遠くまで塩分が運ばれることもあります。
茅ヶ崎は相模湾に面していて、特に南風が吹く日には潮風が建物に直接当たりやすい環境です。
この潮風に含まれる塩分が、外壁や屋根、金属部分などに付着し、徐々に劣化を促進させていくのです。
シーリングが塩害で劣化しやすい理由
シーリング材は主にウレタン系や変性シリコン系の樹脂でできています。
これらの材料は本来、紫外線や雨風への耐久性を考えて作られていますが、塩害環境ではさらに厳しい条件にさらされます。
塩分が付着したシーリング表面は、湿気を吸いやすくなります。
そして日中の日差しで乾燥し、夜間や雨の日に再び湿るという乾湿の繰り返しが激しくなるのです。
この繰り返しにより、シーリング材の内部に含まれる添加剤が通常よりも早く流出したり、表面の劣化が加速したりすることがあるようです。
また、塩分は化学的な反応を促進する性質も持っているため、シーリング材の分解速度を早める可能性も指摘されています。
内陸部では10年程度持つとされるシーリング材が、海沿いの環境では7~8年程度で交換が必要になるケースも見られます。
南西からの風が強い日が多く、海からの塩分が建物全体に付着しやすい環境といえます。
このため、定期的な点検と適切なメンテナンス時期の判断が、内陸部以上に大切になってくるかもしれません。
シーリング劣化のサインと見極め方
初期段階の劣化症状

シーリングの劣化は段階的に進行していきます。
初期段階では、表面の色が薄くなったり、チョーキングと呼ばれる粉が吹いたような状態が見られることがあります。
これはシーリング材に含まれる紫外線吸収剤などの添加剤が表面に出てきている状態で、劣化の始まりのサインといえます。
また、シーリング表面を指で触ってみて、以前よりも硬くなっていると感じる場合も、弾力性が失われ始めている可能性があります。
この段階ではまだ防水機能は保たれていることが多いですが、注意深く見守る必要が出てきます。
進行した劣化症状

劣化が進むと、より明確な症状が現れてきます。
シーリング表面に細かいひび割れが入るクラックという現象は、弾力性がかなり失われているサインです。
さらに進行すると、そのひび割れが深くなり、最終的にはシーリング材が裂けてしまう破断という状態になります。
また、シーリング材が痩せて厚みが減少する肉やせという現象も見られます。
これはシーリング材の中に含まれる可塑剤が外に出てしまうことで起こり、目地の奥が見えてしまうほど痩せてしまうこともあります。
外壁材とシーリング材の境目が剥がれてきている場合は、特に注意が必要です。
この剥離という状態になると、そこから雨水が容易に侵入できてしまうため、早めの対応を検討したほうがよいでしょう。
自分でできる点検のポイント
シーリングの状態は、ある程度自分でも確認することができます。
晴れた日に外壁全体を眺めてみて、目地の色が変わっていないか、ひび割れが入っていないかを確認してみましょう。
特に日当たりの良い南面や西面は劣化が早い傾向にあるようです。
また、窓周りやベランダ周辺など、水がかかりやすい場所も念入りに見ておくとよいかもしれません。
ただし、高所の点検は危険が伴いますし、専門的な目で見ないと判断が難しい場合もあります。
気になる症状が見つかった場合や、前回のメンテナンスから7~8年以上経過している場合は、専門業者に診てもらうことをおすすめします。
海沿い地域に適したシーリング材の選び方
主なシーリング材の種類と特徴
シーリング材にはいくつかの種類があり、それぞれに特徴があります。
ウレタン系のシーリング材は、密着性と弾力性に優れているため、外壁の目地補修によく使われています。
ただし紫外線に弱いという性質があるため、シーリング打ち替え後に外壁塗装で保護することが前提となります。
比較的手頃な価格も魅力の一つです。
変性シリコン系のシーリング材は、ウレタン系に機能を付加したような材料で、耐候性に優れているのが特徴です。
塗装の上に直接使える点や、塗装後も変色しにくいノンブリードタイプがある点も評価されています。
価格はウレタン系よりやや高めですが、長期的な耐久性を考えると選択肢に入ってくる材料です。
なお、水回りでよく使われるシリコン系のシーリング材は、耐久性は高いものの塗装ができないため、外壁の目地には通常使用されません。
塩害環境でのシーリング材選び
茅ヶ崎のような海沿いの地域では、耐候性と耐久性により優れた材料を選ぶことが長持ちの秘訣といえるかもしれません。
変性シリコン系のシーリング材は、ウレタン系と比べて紫外線や塩害に対する耐性が高い傾向にあります。
特にノンブリードタイプで高耐久グレードのものは、海沿いの厳しい環境でもパフォーマンスを発揮してくれる可能性があります。
最近では、塩害環境にも対応した高耐候性シーリング材が開発されています。
例えば促進耐候性試験で18年相当以上経過してもひび割れなどの劣化症状が生じないような製品もあり、茅ヶ崎のような厳しい環境での選択肢として検討できるでしょう。
こうした高耐候性シーリング材の中には、塗料メーカー自らが開発している製品もあります。
アステックペイントのアステックシールシリーズは、その代表例といえます。
同社の全塗料との付着性・汚染性試験をクリアしており、先打ち工法での塗膜トラブルのリスクを抑えられる設計になっています。
通常、塗料メーカーとシーリングメーカーは別会社であるため、このような包括的な相性試験は珍しいといえるでしょう。
また、外壁塗装と合わせてシーリングを打ち替える場合、塗料の耐用年数とシーリング材の耐用年数を近づけることも一つの考え方です。
高耐久塗料を使う際には、それに見合った高耐久シーリング材を選ぶことで、次回のメンテナンス時期を揃えられるかもしれません。

通常、塗料メーカーとシーリングメーカーは別会社であるため、全ての組み合わせでの相性試験は行われていません。しかし塗料メーカーが自社でシーリング材も開発している場合、自社塗料との適合性が確認されているため、より安心して先打ち工法を選択できます。
例えばアステックシールのように、塗料メーカーが開発したシーリング材であれば、自社の全塗料との相性試験が実施されているため、塗膜の剥がれやブリード現象などのトラブルリスクを抑えられる可能性があります。茅ヶ崎のような塩害環境では、このような確実性の高い材料の組み合わせを選ぶことも、長期的な建物保護の観点から有効な選択肢といえるでしょう。
シーリング材は製品によって性能が異なりますので、見積もりを取る際は、どのメーカーのどのグレードの材料を使用するのか、また塗料との相性は確認されているのかを確認してみましょう。
価格だけでなく、耐用年数や保証内容、そして塗料との組み合わせも比較検討材料になります。
交換時期とメンテナンスの考え方
シーリング打ち替えの時期
一般的にシーリング材の寿命は5~10年程度とされていますが、これは環境によって大きく変わります。
茅ヶ崎のような海沿いの地域では、7~8年を一つの目安として考えるのがよいかもしれません。
ただし、年数だけで判断するのではなく、実際の劣化状態を見て判断することが大切です。
明確なひび割れや剥離が見られる場合は、たとえ5年程度しか経っていなくても、打ち替えを検討したほうがよい場合があります。
逆に、10年近く経過していても劣化症状が軽微であれば、もう少し様子を見ることもできるでしょう。
このあたりの判断は、専門家の目で確認してもらうのが確実です。
先打ちと後打ちの違い

シーリングの打ち替えを外壁塗装と一緒に行う場合、施工の順序には「先打ち」と「後打ち」という2つの方法があります。
先打ちは、シーリング材を施工してからその上に塗装する方法です。
シーリング材の表面も塗装で覆われるため、紫外線や雨風から保護され、劣化を遅らせる効果が期待できます。
また、外壁全体が同じ色で統一されるため、見た目もきれいに仕上がります。
ただし建物は日々わずかに動いているため、柔軟性のあるシーリング部分の上の塗膜が、数年後にひび割れてくる可能性があります。
このひび割れは塗膜表面だけのもので、シーリング材自体の防水機能には影響しないことが多いのですが、見た目が気になる場合もあるようです。
一方、後打ちは外壁塗装を終えてから、最後にシーリング材を施工する方法です。
シーリング材の上に塗装をしないため、塗膜のひび割れの心配はありません。
しかしシーリング材が直接紫外線や雨風にさらされるため、先打ちと比べると劣化が早くなる傾向にあります。
そのため後打ちを選択する場合は、より耐候性の高いグレードのシーリング材を使用することが推奨されます。
茅ヶ崎のような塩害環境では、どちらの工法を選ぶにしても、使用するシーリング材の耐候性グレードが重要になってきます。
先打ちであれば塗装による保護効果も期待できますが、後打ちを選ぶ場合は特に高耐候性のシーリング材を選定する必要があるでしょう。
外壁塗装と合わせたメンテナンスの利点
シーリングの打ち替えだけを単独で行うこともできますが、外壁全体の打ち替えには足場の設置が必要になります。
この足場代は工事費用の中でも大きな割合を占めるため、外壁塗装と同時に行うことでコストを抑えられます。
外壁塗装も同じく10年前後を目安にメンテナンスが推奨されていますので、シーリングの状態と外壁の状態を合わせて確認し、同時期に工事を計画するのが効率的といえます。
ただし、シーリングの劣化だけが先に進んでいる場合は、外壁塗装を待たずに打ち替えを検討する必要があることもあります。
雨漏りなどのトラブルが起きてからでは、補修費用がかさむ可能性もあるためです。
日頃からできるメンテナンスの心構え
シーリングを長持ちさせるために、日頃からできることもあります。
茅ヶ崎の環境では、外壁に塩分が付着しやすいため、年に数回、ホースで軽く水をかけて塩分を洗い流すことが効果的です。
屋根は雨で自然に流れますが、軒下や雨がかかりにくい部分は塩分が溜まりやすいので、意識的に洗い流すとよいでしょう。
また、定期的に外壁の状態を眺めて、変化に気づけるようにしておくことも大切です。
季節の変わり目など、年に1~2回は外壁全体を見て回る習慣をつけておくと、小さな変化にも気づきやすくなります。
しかし適切な時期に適切なメンテナンスを行うことで、建物を長く健全に保つことができます。
茅ヶ崎という環境を理解した上で、計画的にメンテナンスを考えていくことが、結果的に費用の抑制にもつながるのではないでしょうか。
信頼できる業者であれば、環境に合わせた適切な材料の組み合わせを提案してくれるはずです。
外壁のシーリングは、一見すると地味な部分かもしれませんが、建物の防水性を保つ上で非常に重要な役割を担っています。
特に茅ヶ崎のような海に近い環境では、内陸部よりも早く劣化が進む可能性があることを念頭に置いておく必要がありそうです。
劣化のサインを見逃さず、適切な時期にメンテナンスを行うことで、大切な住まいを長く守っていくことができるでしょう。
気になる症状が見られた場合は、早めに相談してみることをおすすめします。
専門的な視点からの診断と、環境に合わせた適切な提案を受けることで、より確実なメンテナンス計画を立てられるはずです。
茅ヶ崎での外壁シーリングのメンテナンスは、ハーモニーホームにご相談ください。
