外壁点検30項目を完全網羅|後編:専門15項目と塩害対策

チェックリスト

前編の振り返りと後編の内容

前編では外壁点検30項目のうち、基本となる15項目を確認しました。
外壁表面の状態、ひび割れ、コーキングという3つのカテゴリーで、最も重要な項目をチェックしていただきました。

この後編では、さらに専門的な視点での15項目をご紹介します。
金属部分のサビ、外壁材本体の劣化、雨樋などの付帯部、そして茅ヶ崎特有の塩害チェックまで、プロが実際に確認している項目を分かりやすく解説します。

前編と後編を合わせることで、ご自宅の外壁状態を総合的に把握できる内容になっています。
前編をまだご覧になっていない方は、まずはそちらから確認することをおすすめします。

それでは、項目16から30までを見ていきましょう。

専門チェック①:金属部分とサビ(5項目)

サビ表面

建物には様々な金属部分が使われており、これらのサビや腐食は建物全体の劣化につながることがあります。
特に海に近い茅ヶ崎では、通常より早くサビが進行することもあるため、注意深く確認しましょう。

項目16:雨戸・戸袋にサビや腐食はないか

金属製の雨戸や戸袋は、サビが発生しやすい場所です。
表面に茶色や赤茶色のサビが出ていないか、レールの部分が腐食していないか確認します。

開閉がスムーズにできなくなっている場合、サビの進行によって動きが悪くなっている可能性があります。

項目17:シャッター・面格子のサビはないか

窓のシャッターや面格子も、サビが出やすい部分です。
特にシャッターは巻き上げる部分や、スラット(羽根)の接続部分にサビが発生しやすいといえます。

音がうるさくなった、動きが重くなったという場合は、サビの進行が原因かもしれません。

項目18:水切り板金・笠木のサビはないか

外壁の下部にある水切り板金や、ベランダ・バルコニーの手すり上部の笠木にサビが出ていないか確認します。

これらは雨水が直接当たる場所のため、サビが進行すると穴が開いてしまうこともあります。
穴が開くと、そこから建物内部に雨水が浸入する経路になってしまいます。

注意が必要なサビの症状表面的なサビだけでなく、以下の症状が見られたら早めの対応をおすすめします。

・サビで穴が開いている
・金属が波打つように変形している
・触ると金属がぼろぼろと崩れる
・広範囲にサビが広がっている

これらは腐食がかなり進行している状態です。

項目19:換気口・換気扇フードのサビはないか

外壁に取り付けられた換気口や換気扇のフード部分も確認します。
特にキッチンの換気扇は油汚れと湿気でサビやすい環境にあります。

フードの内側や、取り付け部分の金具もチェックしてみてください。

項目20:釘・ビス・金具のサビはないか

外壁材を固定している釘やビス、雨樋を支える金具などの小さな金属部分も、実は重要なチェックポイントです。

これらにサビが発生すると、固定力が弱まって外壁材や雨樋が外れる原因になることがあります。
特にサイディング外壁の場合、釘の頭が錆びて浮いてくることがあります。

専門チェック②:外壁材本体の状態(5項目)

外壁材そのものの劣化は、塗装だけでは対応できないこともあります。
材料の種類によって劣化の仕方が異なりますので、ご自宅の外壁材に合わせて確認してください。

項目21:サイディングボードに反りや浮きはないか

サイディング反り

サイディング外壁の場合、ボードが波打っていたり、壁から浮いている状態になることがあります。
横から見ると分かりやすいでしょう。

水分を吸って膨張したり、温度変化で変形することが原因です。
軽く触ってみて、ボードが動くようなら浮いている可能性があります。

項目22:サイディングボードに欠けや割れはないか

ボード自体が欠けたり、割れたりしていないか確認します。
窓の四隅やボードの端部分は、衝撃で欠けやすい場所です。

小さな欠けでも、そこから水分が入り込んで劣化が進むことがあります。

項目23:モルタル外壁に浮きはないか

膨れ

モルタル外壁の場合、下地から塗装面が浮いてくることがあります。
軽く叩いてみて、ポコポコと空洞のような音がしたら、内部で浮きが発生している可能性があります。

ただし、叩く際は強く叩きすぎないよう注意してください。
軽くコンコンと叩く程度で十分です。

項目24:モルタル外壁に白い結晶はないか

モルタル外壁の表面に白い粉のようなもの(エフロレッセンス)が付着していたら、内部の成分が雨水で溶け出しているサインです。

これは防水機能が低下している明確な指標で、内部に水分が浸入していることを示しています。
ひび割れ周辺や、水が流れやすい場所で発生することが多いでしょう。

項目25:外壁材の継ぎ目に隙間はないか

サイディングボードやパネル同士の継ぎ目に、目立つ隙間が開いていないか確認します。
コーキングが劣化して外壁材が見えている状態や、ボード自体が動いて隙間ができている場合があります。

隙間から雨水が入り込むと、建物内部の劣化が進みやすくなります。

専門チェック③:雨樋と付帯部(3項目)

雨樋は雨水を適切に排水する重要な役割を持っています。
機能が低下すると、外壁に余計な水がかかり、劣化を早める原因になります。

項目26:雨樋に歪みや外れはないか

雨樋が正しく取り付けられているか、歪んでいないか確認します。
雨樋が傾いていたり、支持金具から外れかかっている場合、雨水が正常に流れません。

特に台風や大雪の後は、雨樋が外れやすいため、確認しておくと良いでしょう。

項目27:雨樋に詰まりや破損はないか

雨樋の中に落ち葉やゴミが詰まっていないか、雨の日に水があふれていないか観察します。
継ぎ目から水が漏れている場合、接続部の劣化や破損が考えられます。

雨樋の内部は見えにくいですが、雨の日に外から観察すると、水の流れ方で詰まりが分かることがあります。

専門家からのアドバイス雨樋の詰まりは、外壁劣化の意外な原因になります。
雨樋から水があふれると、外壁に直接雨水がかかり続け、通常より早く劣化が進むことがあります。
年に1回程度、雨樋の清掃を検討すると良いでしょう。

項目28:軒天・破風板に劣化はないか

破風塗装剥がれ

屋根の裏側(軒天)や、屋根の端部分(破風板)も確認します。
雨水がかかりにくい場所と思われがちですが、実は湿気がこもりやすく、劣化しやすい部分です。

軒天に染みや剥がれがある場合、雨漏りしている可能性もあります。
破風板の塗装が剥がれていたり、木部が腐食していないかチェックしてください。

茅ヶ崎特有:塩害の専門チェック(2項目)

海に近い茅ヶ崎では、潮風による塩害が外壁劣化の大きな要因になります。
通常のチェック項目に加えて、以下の2つの専門的な視点でも確認してみてください。

項目29:塩害による白い付着物はないか

外壁表面に白っぽいザラザラした汚れが付着していたら、塩分が残っている可能性があります。
特に海側の面や、風向きによって潮風が当たりやすい方角で目立つことがあります。

触ってみて、ざらつきがあったり、水で濡らすと白く溶け出すような感じがあれば、塩分の可能性が高いでしょう。
この状態が続くと、金属部分のサビや塗装の劣化が通常より早く進みます。

茅ヶ崎特有のポイント海から5km圏内では、潮の香りがする日は特に塩分が多く運ばれています。
強風の後や台風の後は、外壁に付着した塩分を水で洗い流すことで、劣化の進行を遅らせることができます。ホースで水をかけるだけでも効果がありますので、気づいたときに実施してみてください。

項目30:方角による劣化の偏りはないか

東西南北の外壁を比較して、特定の方角だけ劣化が激しくないか確認します。
茅ヶ崎では、海側から風が吹きやすい方角の外壁が、他の面より劣化が進みやすい傾向があります。

南側や西側は紫外線の影響も大きいため、海からの風向きと紫外線、両方の要因が重なる面は特に注意深く観察してください。

同じ建物でも、面によって劣化の進み方が全く違うことがあります。
この違いに気づくことが、適切なメンテナンス計画につながります。

症状の緊急度と優先順位の判定

30項目すべてを確認して、複数の症状が見つかった場合、どれから対応すべきか判断に迷うかもしれません。
ここでは、症状の緊急度と優先順位の目安をお伝えします。

【緊急度:高】早急な対応が必要な症状

以下の症状が見つかった場合は、できるだけ早く専門業者に相談することをおすすめします。

・幅0.3mm以上の構造クラック(特に横方向や斜め)
・基礎部分のひび割れや段差
・コーキングの完全な剥がれや大きな隙間
・外壁材の大きな欠けや割れ
・金属部分の穴あきや激しい腐食
・雨樋の外れや破損
・軒天の染みや剥がれ(雨漏りの可能性)
・外壁材の顕著な浮きや反り

これらは雨水の浸入経路になりやすく、放置すると建物内部まで影響が及ぶ可能性があります。

【緊急度:中】計画的に対応を検討すべき症状

すぐに建物が傷むわけではありませんが、1〜2年以内にメンテナンスを検討したい状態です。

・広範囲のチョーキング現象
・複数箇所でのコーキングの劣化
・塗装の部分的な剥がれや膨れ
・金属部分の表面的なサビ
・ヘアークラックが増えてきている
・雨樋の軽度な歪みや詰まり
・外壁の広範囲な汚れやカビ
・モルタル外壁の白い結晶

これらは劣化の進行段階としては中期で、適切な時期に対処することで大きな工事を避けられる可能性があります。

【緊急度:低】経過観察で様子を見る症状

定期的に確認しながら、変化を観察していく段階です。

・軽度の色あせ
・限定的な小さなヘアークラック
・コーキングの軽度な変色
・小さな範囲のカビやコケ
・雨だれによる軽い汚れ

これらは今すぐ対処する必要はありませんが、写真で記録を取り、半年後や1年後に同じ箇所を確認して、進行していないか確認することが大切です。

専門業者への相談タイミング

セルフチェックで気になる症状が見つかったとき、どのタイミングで専門業者に相談すべきか迷う方も多いでしょう。

こんなときは相談を検討してください

・緊急度が高い症状が1つでも見つかった
・緊急度が中程度の症状が3つ以上ある
・前回のチェックから明らかに症状が増えている
・判断に迷う症状がある
・前回の塗装やメンテナンスから10年以上経過している

専門業者の多くは、無料で現地調査を行っています。
「まだ工事を決めたわけではないけど、状態を見てほしい」という相談でも、遠慮なく依頼して大丈夫です。

業者に見てもらうメリット

プロの目で見ることで、セルフチェックでは気づけなかった症状を発見できることがあります。
特に屋根や高所、建物内部の状態など、自分では確認しにくい場所も点検してもらえます。

また、症状の進行度に応じた具体的な対処方法や、メンテナンス時期の目安、概算の費用感なども教えてもらえるでしょう。

業者に相談する際のポイントセルフチェックで撮影した写真を見せると、具体的な話がスムーズに進みます。
「いつから」「どのように」変化したかの情報も、的確なアドバイスをもらうために役立ちます。複数の業者に相談して、意見を比較することもおすすめです。
ただし、極端に安い見積もりや、すぐに契約を迫る業者には注意が必要です。

まとめ|30項目で完璧な外壁診断

前編と後編を通じて、外壁点検の30項目すべてをご紹介しました。

前編では基本の15項目として、外壁表面の状態、ひび割れ、コーキングを確認しました。
後編では専門的な15項目として、金属部分のサビ、外壁材本体の劣化、雨樋と付帯部、そして茅ヶ崎特有の塩害チェックまで解説しました。

定期的なチェックの習慣を

これら30項目すべてを一度に確認する必要はありません。
まずは気になる項目から、無理のない範囲で始めてみてください。

理想的には、年に2回(春と秋)、少なくとも年に1回は建物の周りを歩いて、外壁の状態を確認する習慣をつけることをおすすめします。

記録を残すことの大切さ

写真で記録を残し、定期的に見比べることで、劣化の進行度が明確になります。
「昨年はなかったひび割れ」「半年前より広がったコーキングの隙間」といった変化に気づけるようになります。

早めの気づきが建物を守る

外壁の劣化は、初期段階で対処することで、費用も工期も最小限に抑えられることが多いものです。
「まだ大丈夫だろう」と先延ばしにせず、小さなサインのうちに対策を検討することが、結果的に建物を長持ちさせることにつながります。

判断に迷う症状があれば、遠慮なく専門業者に相談してください。
セルフチェックは自己診断のためのツールであり、最終的な判断は専門家に任せるのが安心です。

この30項目のチェックリストが、あなたの大切なお住まいを守る一助になれば幸いです。
定期的な確認と適切なタイミングでのメンテナンスで、長く快適に暮らせる住まいを守っていきましょう。

茅ヶ崎での外壁診断や塗装のご相談は、地域の特性を理解したハーモニーホームにお任せください。

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