屋根の点検で「破風板が傷んでいます」「鼻隠しの塗装が必要です」と言われたことはありませんか。
聞き慣れない言葉に戸惑う方も多いかもしれません。
実は、これらは屋根周りで最も劣化が進みやすい部分なのです。
破風板と鼻隠しは、どちらも屋根の端に取り付けられた板状の部材です。
一見すると同じように見えるこれらの部材ですが、取り付けられる位置や細かな役割に違いがあります。
そして、茅ヶ崎のように海に近い地域では、塩害の影響で通常よりも早く劣化が進むことがあるのです。
今回は、破風板と鼻隠しの違いや役割、そして茅ヶ崎特有の劣化パターンについて、現場で見てきた様子を交えながらお伝えしていきます。
破風板と鼻隠しはどう違うのか
破風板と鼻隠しの最も分かりやすい違いは、雨樋がついているかどうかです。
取り付けられる場所の違い
屋根を下から見上げたとき、雨樋がついていない側の傾斜部分に取り付けられているのが破風板です。
一方、雨樋がついている側の水平部分に取り付けられているのが鼻隠しになります。
切妻屋根という三角屋根の家を例にすると分かりやすいでしょう。
正面から見たときの三角形の斜辺部分、これが破風板です。
そして屋根の横から見える水平な部分、ここに鼻隠しがあります。
名前の由来から見える特徴
鼻隠しという名前は、屋根の骨組みである垂木の先端を隠すことから来ています。
垂木の先端部分を建築用語で「鼻先」と呼ぶため、それを隠す板として「鼻隠し」と名付けられたようです。
破風板の「破風」は、文字通り風を破る、つまり風の力を分散させる役割を表しています。
屋根の傾斜部分は横からの風を受けやすいため、この名前がついたのかもしれません。
どちらの部材も屋根の端にあって似た働きをしていますが、雨樋の有無という明確な違いがあるのです。
それぞれが担う役割とは
破風板と鼻隠しは、見た目以上に重要な役割をいくつも担っています。
屋根の構造を守る働き
まず、屋根の骨組みを雨風から守るという基本的な役割があります。
垂木の切り口が直接雨に濡れると、そこから水分を吸い込んで腐食が進んでしまいます。
破風板と鼻隠しは、そうした構造材の劣化を防ぐ保護材として機能しているのです。
また、屋根の内部に風が吹き込むことを防いでいます。
屋根は上からの力には強いのですが、下から吹き上げる風には弱い構造になっています。
破風板や鼻隠しがあることで、台風のような強風でも屋根が飛ばされにくくなっているのです。
建物の見た目を整える
屋根の骨組みがむき出しになっていると、どうしても雑然とした印象になってしまいます。
破風板と鼻隠しで屋根の端をきれいに仕上げることで、建物全体の外観が整って見えるのです。
古い寺社などでは、破風部分に立派な彫刻が施されていることもあります。
現代の住宅ではシンプルな仕上げが多いですが、それでも色や材質を選ぶことで建物の印象を変えることができます。
鼻隠しならではの役割

鼻隠しには、破風板にはない特別な役割があります。
それは、雨樋を取り付けるための下地になるということです。
雨樋の固定金具は、鼻隠しの表面から垂木まで長いビスで留められています。
鼻隠しがしっかりしていないと、雨樋を支えきれずに歪んだり外れたりする原因になってしまいます。
破風板は雨樋がない分、直接雨風にさらされるため、鼻隠しよりも早く傷むことが多いのです。
点検の際は、破風板を重点的に確認することをおすすめします。
茅ヶ崎で見られる劣化のパターン
海に近い茅ヶ崎では、塩害による劣化が建物に大きな影響を与えます。
塩害が引き起こす特有の劣化
茅ヶ崎は海からの距離によって塩害の影響が変わってきます。
海岸線から500メートル以内は特に影響が大きく、2キロ程度離れていても強い南風が吹いた日には潮の匂いを感じることがあるでしょう。
塩分を含んだ潮風は、金属部分の腐食を早めてしまいます。
破風板や鼻隠しに金属が使われている場合、内陸部の住宅と比べて錆の進行が速くなる傾向があります。
また、木製の場合でも、塩分が付着した状態で雨に濡れることで、塗装の劣化が早まることがあるのです。
よく見られる劣化症状
茅ヶ崎のお住まいで多く見られるのは、塗装の剥がれや色褪せです。
木製の破風板では、塗膜が浮いてペリペリと剥がれてくる状態をよく目にします。
一度塗装が剥がれ始めると、そこから水分が入り込んで劣化が加速していきます。
金属製の部分では、錆が発生しやすくなります。
特に釘やビスの周辺から錆が広がっていくケースが多いようです。
錆を放置すると、そこから雨水が浸入して内部の木材まで傷めてしまう可能性があります。
劣化が進みやすい時期
台風シーズンの後は、特に注意が必要な時期です。
強風と塩分を含んだ雨が同時に建物を襲うため、破風板や鼻隠しへのダメージが大きくなります。
また、梅雨時期の湿気も劣化を促進する要因になります。
木製の部材は湿気を含むと膨張し、乾燥すると収縮するため、この繰り返しで塗膜が割れやすくなるのです。
通常10年程度と言われる塗装の耐用年数も、海に近い立地では7〜8年程度で検討が必要になることもあります。
定期的な点検で早めに状態を把握しておくことが、長期的なコスト削減につながるでしょう。
適切なメンテナンス方法
破風板や鼻隠しの状態に応じて、いくつかのメンテナンス方法があります。
塗装によるメンテナンス
劣化が軽度の場合は、塗装で対応することができます。
古い塗膜や汚れをケレン作業で丁寧に落としてから、新しい塗料を塗り直す方法です。
木製の破風板や鼻隠しの場合、この塗装メンテナンスが基本になります。
外壁塗装と同じタイミングで行うことで、足場代を有効に活用することができるでしょう。
ただし、下地の傷みが進んでいる場合は、塗装をしても数年で再び剥がれてくることがあります。
塗装が適しているかどうかは、現在の状態を見て判断する必要があるのです。
板金巻きという選択肢
木製の破風板や鼻隠しが傷んでいる場合、板金巻きという方法が選ばれることが増えています。
これは、既存の部材の上からガルバリウム鋼板という金属板を被せる工法です。
板金巻きのメリットは、耐久性の高さにあります。
一度施工すれば、20年から30年程度はメンテナンスが不要になることが期待できます。
塩害の影響を受けやすい茅ヶ崎のような地域では、長期的に見てコストを抑えられる可能性があるのです。
ただし、鼻隠しに板金巻きをする場合は、雨樋の取り外しが必要になります。
取り外した雨樋は再利用が難しいことが多いため、雨樋も合わせて交換することが一般的です。
交換が必要な場合
腐食がかなり進行している場合や、部材自体が欠けたり割れたりしている場合は、交換を検討することになります。
破風板や鼻隠しを新しいものに取り替える方法です。
交換は他の方法と比べて工事の規模が大きくなりますが、内部の構造まで傷んでいる場合は避けられない選択です。
また、木製から窯業系の材質に変更するなど、材質を変えたい場合にも交換が必要になります。
点検とメンテナンスの時期
定期的な点検の重要性
破風板や鼻隠しは、屋根の端にあるため普段は気づきにくい場所です。
しかし、劣化が進んでから対処すると、修理費用が高額になってしまうことがあります。
外壁塗装や屋根のメンテナンスを行う際には、必ず破風板と鼻隠しの状態も確認してもらうとよいでしょう。
また、台風や大雨の後には、念のため専門業者に点検を依頼することをおすすめします。
こんな症状が見られたら相談を
遠目から見ても分かるほど塗装が剥がれている場合は、早めの対応が必要です。
また、雨樋が歪んでいたり、金具が外れかけていたりする場合は、鼻隠しの劣化が原因かもしれません。
木製の部材に黒ずみや変色が見られる場合も、内部で腐食が始まっている可能性があります。
気になる症状があれば、専門業者に相談して詳しく見てもらうことをおすすめします。
足場を有効活用する考え方
破風板や鼻隠しのメンテナンスには、足場が必要になることがほとんどです。
足場の設置には相応の費用がかかるため、外壁塗装や屋根工事と同時に行うことで、全体のコストを抑えることができます。
外壁や屋根のメンテナンスを検討する際には、破風板と鼻隠しの状態も合わせて確認し、必要な工事をまとめて行うことが効率的でしょう。
破風板と鼻隠しは、屋根周りの中でも特に劣化しやすい部分です。
茅ヶ崎のように海に近い地域では、塩害の影響でさらに注意が必要になります。
建物を長持ちさせるためには、これらの部材の状態を定期的に確認し、適切なタイミングでメンテナンスを行うことが大切です。
どのようなメンテナンス方法が最適かは、現在の状態や建物の環境によって変わってきます。
気になることがあれば、専門業者に相談してみることをおすすめします。
茅ヶ崎での屋根周りのメンテナンスは、ハーモニーホームにご相談ください。
