1. 屋根の部位名称を知っておく意味
2. 棟板金|屋根の頂点を守る重要部位
3. 谷樋|雨水が集中する弱点箇所
4. ケラバ|雨樋のない側の端部
5. 茅ヶ崎で特に注意したい強風リスク
6. 自宅で確認できる点検ポイント
7. 交換やメンテナンスの目安時期
「屋根の板金が浮いているみたいなんですが、どの部分のことでしょうか」
「強風の後に屋根から異音がするようになって…」
このようなご相談をいただくことがありますが、屋根にはいくつもの板金部位があり、それぞれ名称も役割も異なります。
特に茅ヶ崎のような海に近い地域では、強風や塩害の影響を受けやすく、屋根の板金部位に関する知識が大切になってきます。
今回は、棟板金・谷樋・ケラバという3つの重要な屋根板金部位について、それぞれの役割や強風による被害パターン、点検のポイントをご紹介していきます。
屋根の部位名称を知っておく意味
屋根の部位名称を知っておくと、いくつかのメリットがあります。
まず、業者とのコミュニケーションがスムーズになります。
見積書に「棟板金交換」「谷樋補修」などの項目があっても、どこの部分なのか分かっていれば、工事内容を具体的にイメージできるでしょう。
また、ご自身で異常に気づいた時にも、「どの部分に問題があるのか」を業者に正確に伝えられます。
「屋根の上の方が浮いている」よりも「棟板金が浮いているようです」と伝えた方が、業者側も状況を把握しやすくなります。
さらに、定期点検の際にどこをチェックすればよいか、優先順位をつけやすくなるという利点もあります。
棟板金|屋根の頂点を守る重要部位
棟板金の役割と構造

棟板金は屋根の最も高い部分、屋根面と屋根面が合わさる頂点に設置されている板金です。
スレート屋根や金属屋根に使用されており、屋根材の重なり部分を覆って雨水の浸入を防ぐ役割を担っています。
構造としては、屋根材の上に貫板という下地材を設置し、その上から棟板金を被せて釘やビスで固定する形になっています。
現在はガルバリウム鋼板製のものが主流で、以前のトタン製に比べて錆びにくくなっています。
強風による被害パターン
棟板金は屋根の頂上という最も風の影響を受けやすい場所にあるため、強風被害のリスクが高い部位です。
よくある被害としては、まず釘の浮きが挙げられます。
金属は温度変化によって膨張と収縮を繰り返すため、この動きによって徐々に釘が押し出されていきます。
釘が浮くと棟板金と屋根との間に隙間ができ、そこに風が入り込むことで、台風や春一番などの強風時に棟板金が煽られて浮き上がったり、剥がれたりすることがあります。
さらに深刻なケースでは、棟板金が完全に飛散してしまうこともあります。
飛散した棟板金は軽くて薄い金属板のため、風に乗って数十メートル先まで飛んでいく可能性があり、近隣の建物や車を傷つけたり、通行人に当たって怪我をさせたりする危険性もあるでしょう。
また、棟板金が浮いたり剥がれたりすると、その隙間から雨水が浸入して下地の貫板や野地板を腐食させ、雨漏りの原因になることもあります。
点検で確認したいサイン
地上から双眼鏡などで確認できる範囲では、棟板金の浮きや釘の状態を見ておきたいところです。
釘が10mm以上浮いていたり、棟板金と屋根材の間に隙間が見えたりする場合は、専門業者に点検を依頼することをお勧めします。
また、強風の後に屋根から「バタバタ」という異音がする場合は、棟板金が浮いている可能性があります。
谷樋|雨水が集中する弱点箇所
谷樋の役割と設置箇所

谷樋は、屋根と屋根が合わさって谷状になった部分に設置される板金で、雨水を効率的に排水する役割を持っています。
谷板金とも呼ばれます。
すべての屋根にあるわけではなく、切妻屋根や寄棟屋根といったシンプルな形状の屋根にはありません。
複合屋根やドーマー付きの屋根など、屋根面が複数組み合わさっている場合に谷部が生まれ、そこに谷樋が設置されます。
雨漏りが発生しやすい理由
谷樋は、雨漏り原因の上位に挙がる部位です。
その理由は、二つの屋根面からの雨水が一箇所に集中するという構造にあります。
常に大量の雨水にさらされているため、板金の劣化が進みやすく、経年劣化によってサビや穴あきが発生しやすくなります。
特に昔の住宅で使用されていた銅製の谷樋は、酸性雨の影響で20〜30年程度で穴が開くことがありました。
また、谷樋は落ち葉やゴミが溜まりやすい箇所でもあります。
詰まりが発生すると排水能力を超えてオーバーフローを起こし、本来流れるべきでない屋根材と谷樋の隙間に雨水が入り込んで雨漏りにつながることもあるでしょう。
強風や台風の後には特に、飛来物が谷樋に溜まっている可能性があるため注意が必要です。
メンテナンスのポイント
谷樋は屋根の谷部分にあって地上からは見えにくいため、定期的な専門業者による点検が重要になります。
落ち葉が溜まりやすい環境にある場合は、年に1〜2回程度、谷樋の清掃を検討することも一つの方法です。
ただし、屋根に登る作業は危険を伴うため、必ず専門業者に依頼しましょう。
また、谷樋の修理は部分補修が難しく、一片まるごとの交換が必要になることが多いため、早期発見・早期対応が費用を抑えるポイントになります。
ケラバ|雨樋のない側の端部
ケラバの位置と役割

ケラバは、切妻屋根や片流れ屋根の妻側、つまり雨樋が付いていない側の屋根端部のことを指します。
漢字では「螻羽」と書きますが、通常はカタカナで表記されることが多いです。
ケラバは外壁よりも少し外側に出ており、この出っ張りによって外壁や窓に直接雨や日光が当たるのを防いでいます。
夏は日差しを遮り、冬は低い角度から日光を取り込むことで、季節に応じた日射調整の役割も果たしているわけです。
また、ケラバ部分には水切りのための板金が取り付けられており、屋根を伝ってきた雨水が外壁を濡らさないように導く機能もあります。
ケラバ板金の劣化と影響
ケラバ部分も風の影響を受けやすい箇所です。
破風板という側面の板と一体になっている構造のため、風を受けやすい位置にあります。
ケラバ板金の固定釘が浮いてくると、強風時に板金がバタついたり、隙間から雨水が浸入したりします。
また、ケラバ板金と破風板の取り合い部分のコーキングが劣化すると、そこから雨水が染み込んで下地の木材を腐食させることもあるでしょう。
ケラバの劣化を放置すると、外壁の劣化を早めたり、雨漏りの原因になったりする可能性があります。
確認しておきたいポイント
ケラバ部分は、屋根の端という比較的確認しやすい位置にあります。
板金の浮きや破風板の劣化、コーキングの割れなどは、地上からでもある程度確認できることがあります。
特に台風や強風の後には、ケラバ板金に異常がないか目視でチェックしておくとよいでしょう。
茅ヶ崎で特に注意したい強風リスク
茅ヶ崎は相模湾に面した立地のため、海風の影響を受けやすい地域です。
海からの風は遮るものが少ないため、内陸部に比べて風速が強くなる傾向があります。
また、塩分を含んだ海風は板金の劣化を早める要因にもなるでしょう。
海沿いの地域では、台風だけでなく春先の南風や冬の北西風も強く吹くことがあります。季節を問わず、強風後には屋根の状態を気にかけておくことが大切です。また、塩害の影響で板金の錆びや劣化が早まる可能性があるため、内陸部の住宅よりも点検頻度を高めに設定することをお勧めします。
築20年を超える建物の場合、現在の建築基準を満たしていないこともあり、強風対策が十分でない可能性もあります。
定期的なメンテナンスや必要に応じた補強工事を検討することも、長く安心して住み続けるためには重要でしょう。
自宅で確認できる点検ポイント
屋根の板金部位は高所にあるため、直接確認するのは危険です。
しかし、地上からでも確認できることがいくつかあります。
目視でのチェック
双眼鏡などを使って、以下の点を確認してみましょう。
棟板金は、板金が浮いていないか、釘が飛び出していないかを見ます。
板金と屋根材の間に隙間が見える場合は注意が必要です。
ケラバ部分は、板金の浮きや破風板の劣化、塗装の剥がれなどを確認します。
コーキング部分にひび割れや剥離がないかもチェックポイントです。
谷樋は見えにくい箇所ですが、屋根の形状によっては一部が確認できることもあります。
落ち葉やゴミが溜まっていないか、板金に錆や変色がないか見ておくとよいでしょう。
異音の確認
強風時や台風の後に、屋根から「バタバタ」「ガタガタ」といった異音がする場合は、板金が浮いている可能性があります。
このような音に気づいたら、早めに専門業者に点検を依頼することをお勧めします。
室内での確認
雨漏りの兆候として、天井や壁にシミが出ていないか、雨の日に室内がジメジメしていないかも確認しておきたいポイントです。
屋根の点検は、基本的には専門業者に依頼することをお勧めします。高所での作業は転落の危険があり、また専門知識がないと見落としてしまう劣化箇所もあります。年に1回程度、定期点検を受けておくと、大きな被害になる前に対処できることが多いでしょう。台風シーズン前の点検が特に効果的です。
交換やメンテナンスの目安時期
屋根板金部位の耐用年数や交換時期は、使用されている素材や環境によって異なります。
棟板金
棟板金の耐用年数は、一般的に15〜20年程度とされています。
ただし、釘の浮きは新築後7〜10年程度から始まることがあるため、築10年を過ぎたら定期的な点検を心がけたいところです。
釘の浮きだけであれば、釘の打ち直しやビスへの交換で対処できることもあります。
下地の貫板が劣化している場合は、貫板ごと交換する必要があるでしょう。
近年は、耐久性の高い樹脂製の貫板も使用されるようになっており、木製の貫板を使用している場合は、交換時に樹脂製への変更を検討する方法もあります。
谷樋
谷樋の耐用年数は、素材によって大きく異なります。
銅製の谷樋は20〜30年程度、トタン製は10〜15年程度が目安とされています。
現在主流のガルバリウム鋼板製やステンレス製は、30年以上持つことも珍しくありません。
ただし、常に雨水にさらされる箇所のため、定期的な点検で劣化状況を確認し、穴あきやサビが見つかった時点で早めの対処を検討することが大切です。
ケラバ板金
ケラバ板金の耐用年数も、棟板金と同様に15〜20年程度が一つの目安になります。
ケラバ板金と水切り金具が一体になっているタイプの場合、10年程度はメンテナンスが不要とされることもありますが、茅ヶ崎のような海風の影響を受ける地域では、もう少し早めに点検することをお勧めします。
板金の浮きや破風板の劣化が見られたら、部分的な補修や交換を検討するとよいでしょう。
火災保険の活用
台風や強風による被害の場合、火災保険の風災補償が適用される可能性があります。
被害に遭った場合は、まず保険会社に連絡して、補償の対象になるか確認してみることをお勧めします。
ただし、経年劣化による損傷は補償の対象外となることが一般的です。
屋根の板金部位は、それぞれ重要な役割を持ちながら、劣化や被害のリスクも抱えています。
特に茅ヶ崎のような強風の影響を受けやすい地域では、定期的な点検とメンテナンスが、住まいを長く守るために大切になってくるでしょう。
「ちょっと気になる」と感じたら、それが大きなトラブルを防ぐサインかもしれません。
気になる点があれば、専門業者に相談してみることをお勧めします。
屋根の点検やメンテナンスについて疑問がある場合は、お気軽に相談されるとよいでしょう。
茅ヶ崎での屋根板金の点検・修理は、ハーモニーホームにご相談ください。
