アステックREVO500-IRシリーズ│屋根用の水性二液型高耐候塗料

REVO500

屋根用の遮熱塗料は、以前から多くのメーカーが販売しています。
アステックペイントが2026年2月に発売した「REVO500-IRシリーズ」は、これまで外壁用(REVO1000シリーズ)のみだったREVOブランドに、初めて加わった屋根用ラインナップです。
フッ素・シリコンの水性二液型で、高耐候性と遮熱性を兼ね備えています。

この記事では、REVO500-IRシリーズの特徴を整理してご紹介します。

REVO500-IRシリーズとは

REVO500-IRシリーズは、アステックペイントが2026年2月に発売した屋根専用の水性塗料シリーズです。フッ素グレードとシリコングレードの2種類が用意されています。

REVOシリーズには、外壁用のシリコンREVO1000-IR・フッ素REVO1000-IR・無機REVO1000-IRと、屋根用のREVO500-IRシリーズ(フッ素・シリコン)があります。

※外壁用のシリコンREVO1000-IR・フッ素REVO1000-IR・無機REVO1000-IRについては、アステックREVOシリーズ完全解説│シリコン・フッ素・無機の選び方で詳しくご紹介しています。屋根と外壁をあわせてご検討中の方はあわせてご覧ください。

水性であることのメリット

弱溶剤系の塗料は下地への密着力に優れる一方で、臭気や、既存の塗膜との相性(特に旧塗膜が水性か溶剤系か分からない場合の「ちぢれ」トラブル)が課題になることがあります。

REVO500-IRシリーズは水性二液型のため、次のようなメリットがあります。

・塗料自体の臭いが控えめなので、近隣の住宅が近く匂いへの配慮が必要な現場でも扱いやすい
・溶剤が既存の塗膜に染み込むことで起きる「ちぢれ」というトラブルが起こりにくいため、以前どんな塗料で塗られていたか分からない屋根でも、比較的安定して施工しやすい
・対応素材にアスファルトシングルが含まれており、弱溶剤では避けたい素材にも塗装できる

もう一つ、2026年に入ってから無視できなくなっているのが「シンナー(弱溶剤塗料の希釈剤)の供給不安」です。
中東情勢の緊迫化を受けて原油・ナフサの供給が滞り、2026年3月以降、大手塗料メーカー各社がシンナー製品の大幅値上げや出荷制限を相次いで発表しています。
アステックペイント自身も「弱溶剤塗料に比べると水性塗料は安定した供給体制を維持している」と案内しています。
シンナーを使わない水性塗料であるREVO500-IRシリーズは、こうした供給面の不安定さに影響されにくいという実務的なメリットもあります。
※ただし水性塗料の樹脂も石油由来のため、情勢の長期化によっては水性塗料の供給にも調整が生じる可能性があります(2026年時点の状況です)。

「水性だから耐久性が心配」と感じる方もいるかもしれませんが、REVO500-IRシリーズはB液による架橋反応を持つ二液型塗料です。
この硬化の仕組みにより、一液型水性塗料とは異なる強固な塗膜を形成するため、耐久性の面でも高い性能が期待できます(具体的な耐用年数は次章でご紹介します)。

2つのグレードと期待耐用年数

REVO500-IRシリーズには、フッ素グレードとシリコングレードの2種類があります。

フッ素REVO500-IR

フッ素樹脂を採用した上位グレードです。

フッ素REVO500-IR 基本スペック
・種類:水性形二液屋根用遮熱フッ素系上塗材
・期待耐用年数:16〜20年
・促進耐候性試験:7,000時間経過後も光沢保持率80%以上を維持
・遮熱性:あり(-IR)
・日射反射率(N-60):65.8%(日本塗料検査協会試験)

シリコンREVO500-IR

シリコン樹脂をベースにしたグレードです。

シリコンREVO500-IR 基本スペック
・種類:水性形二液屋根用遮熱シリコン系上塗材
・期待耐用年数:13〜16年
・促進耐候性試験:6,000時間経過後も光沢保持率80%以上を維持
・遮熱性:あり(-IR)
・日射反射率(N-60):65.6%(日本塗料検査協会試験)
・色数:69色
・艶:艶有
・液型:二液型

2グレードとも遮熱機能(-IR)を標準搭載しており、遮熱なしのバリエーションは設定されていません。
なお期待耐用年数は、あくまで室内での促進試験から導き出された目安の数値です。実際にどれだけ長持ちするかは、屋根の下地の傷み具合や施工の丁寧さ、その土地の気候によって変わってきます。

高耐候性を支える4つの技術

塗料が長持ちするかどうかは、「紫外線にどれだけ耐えられるか」で大きく決まります。
REVO500-IRシリーズは、樹脂そのものの強さ・顔料の工夫・添加剤・硬化のしくみという4つの角度から紫外線対策を積み重ねています。

①フッ素REVO500-IR:完全交互結合型フッ素樹脂

塗料の樹脂は、紫外線を浴び続けることで少しずつ分子の結びつきがほどけていき、これが色あせやひび割れの原因になります。
一般的なフッ素樹脂には、この劣化に弱い部分が不規則に混ざっていることが弱点でした。
フッ素REVO500-IRが採用する「完全交互結合型フッ素樹脂」は、劣化に強い結合と、塗膜にしなやかさを与える結合を規則正しく交互に並べる構造です。
弱い部分をあらかじめ計算して配置を整えることで、紫外線への耐性を底上げしています。

①シリコンREVO500-IR:豊富なシリコン成分の配合

シリコン樹脂の骨格を作る「シロキサン結合」は、紫外線による分解に強いことで知られる結合です。
シリコンREVO500-IRは、一般的な水性シリコン塗料に比べてこのシロキサン結合の割合を高めており(自社調べ)、結合の量が多いほど紫外線に破壊されにくい塗膜になるという考え方に基づいています。

②ラジカル制御型白色顔料の採用

白い塗料に使われる顔料の主成分は「酸化チタン」です。
この酸化チタンは紫外線を浴びると「ラジカル」と呼ばれる劣化因子を生み出す性質があり、これが樹脂を内側から壊してしまう大きな原因のひとつになっています。
REVO500-IRシリーズで使われている「ラジカル制御型白色顔料」は、そもそもラジカルが発生しにくいよう作られた顔料です。
さらに、万一発生してしまった場合も、表面を覆う薄いシールド層がラジカルを閉じ込めて外に漏らさないため、樹脂へのダメージを最小限に抑えます。

③HALS(光安定剤)の配合

顔料でラジカルの発生自体を抑えつつ、それでも生まれてしまったラジカルを捕まえる役目を担うのが「HALS」という添加剤です。
発生源対策と事後対応の二段構えで、塗膜の劣化を長期間にわたって食い止める仕組みになっています。

④B液による架橋反応

REVO500-IRシリーズは、主剤(A液)と硬化剤(B液)を混ぜて使う二液型塗料です。
水分が抜けて樹脂同士が寄り添うだけの一液型塗料とは異なり、B液が樹脂の分子と分子のあいだに化学的な結びつきを作り、網目のようにつなぎとめていきます。
この「乾燥」と「化学的な結合」の二重の効果によって、単に乾いて固まるだけの塗膜より丈夫な仕上がりになります。

遮熱性能について

太陽光には目に見える光のほかに「近赤外線」という波長帯(780〜2500nm)が含まれており、屋根表面の温度を押し上げる主な原因はこの近赤外線です。
夏場、屋根表面は80℃を超えることも珍しくありません。
遮熱塗料は、この近赤外線を効率よくはね返すことで、屋根表面の温度上昇そのものを抑える塗料です。

REVO500-IRシリーズが遮熱のために採用しているのは「黒色遮熱無機顔料」です。
この顔料は、黒色顔料としての漆黒性・耐候性を保ちながら近赤外線を反射する特性を持つため、耐候性を大きく落とすことなく遮熱性能を両立できます。

日本塗料検査協会による日射反射率試験では、N-60(グレー系の色)においてシリコンREVO500-IRが65.6%、フッ素REVO500-IRが65.8%という結果が確認されています。

【遮熱性能が守っているのは、実は「室内」より「屋根そのもの」】
遮熱塗料というと「室内が涼しくなる」イメージを持たれがちですが、実際の住宅では断熱材や窓・屋根裏空間など室内温度に影響する要因が多くあります。
屋根表面の温度が下がったからといって、室内の体感温度が大きく変わるとは限りません。
遮熱性能が実際に役立っているのは、屋根表面の高温化を抑えることで紫外線や熱による塗膜・屋根材へのダメージを減らし、屋根を長持ちさせている部分です。

対応している屋根素材と下塗り材

REVO500-IRシリーズが対応している屋根素材は以下の通りです。

カラーベスト(スレート)・セメント瓦・モニエル瓦・アスファルトシングル・カラー鋼板・ガルバリウム鋼板・ステンレス・アルミニウム・塩ビ鋼板・フッ素鋼板・波形スレート(屋根)

対応している主な下塗り材は以下の製品が挙げられます。

エポパワーシーラーJY・サーモテックシーラー・エポプレミアムシーラープライマーJY・リベット・エピテックプライマー・モニエルパワープライマー・サーモテックメタルプライマー・エポパワーメタルJY・一液エクセルエポプライマー・フッ素鋼板用パワープライマーJY・エポパワーシーラー・エポパワーSS強化シーラー・エクセルルーフサーフA

下塗り材は屋根素材の種類や劣化状況によって選定が変わります。
詳細はアステックペイントの製品仕様書に記載されており、現地調査の上で適切な下塗り材を選択することが大切です。

塗り替え時の注意点

【強溶剤塗料との組み合わせに注意】
REVO500-IRシリーズは水性塗料のため、施工後に強溶剤塗料を上から使用すると、塗膜のちぢれ等の不具合を引き起こす可能性があります。
将来の塗り替え時には強溶剤塗料の使用を避け、水性塗料または弱溶剤塗料での塗り替えを計画してください。

本文に出てきた用語の解説

■ ラジカル
紫外線を浴びた顔料(酸化チタン)から発生する、樹脂を分解してしまう物質のこと。塗膜が劣化する主な原因のひとつです。

■ HALS(ハルス)
「Hindered Amine Light Stabilizer」の略で、日本語では「光安定剤」。発生してしまったラジカルを捕まえて無害化する添加剤です。

■ 架橋反応(かきょうはんのう)
硬化剤を混ぜることで、樹脂の分子同士があちこちで化学的に結びつき、網目状につながっていく反応のこと。
水分が蒸発して固まるだけの塗料より、丈夫な塗膜になりやすいのが特徴です。二液型塗料(主剤と硬化剤を混ぜて使うタイプ)で起こります。

■ 完全交互結合型フッ素樹脂
フッ素樹脂の中で、劣化に強い部分としなやかさを持たせる部分(劣化に弱い部分)を、規則正しく交互に並べた構造のこと。
弱い部分が偏らないよう設計することで、紫外線への耐性を高めています。

■ シロキサン結合
シリコン樹脂の骨格となっている結合。紫外線による分解に強いことで知られています。

■ 近赤外線(きんせきがいせん)
太陽光に含まれる、目には見えない光の一種(波長780〜2500nm)。屋根の表面温度を上げる主な原因になっています。
遮熱塗料はこの近赤外線を反射することで表面温度の上昇を抑えます。

■ 促進耐候性試験(そくしんたいこうせいしけん)
人工的に強い紫外線や熱・水をあて、実際の屋外環境で数年〜十数年かけて起こる塗膜の劣化を、短期間で再現する試験のこと。
この記事の「〇〇時間で光沢保持率80%以上」という表記は、この試験の結果です。

■ 期待耐用年数
促進耐候性試験の結果をもとに算出した、次の塗り替えまでの目安年数のこと。保証年数ではなく、あくまで試験環境下での推定値です。
実際の耐用年数は、下地の状態・施工方法・気象条件によって変わります。

■ N-60(エヌ‐ろくじゅう)
日本塗料工業会が定める色番号のひとつで、「明度60のグレー系の無彩色」を指します。日射反射率などの試験で基準色としてよく使われます。

■ JIS K 5675
「屋根用高日射反射率塗料」についての日本産業規格(JIS)。遮熱塗料の性能を規格として評価する基準のひとつです。

まとめ

REVO500-IRシリーズは、アステックペイントが2026年2月に発売した屋根専用の水性遮熱塗料です。
REVO500-IRシリーズは、これまで外壁用(REVO1000シリーズ)のみだったREVOブランドに初めて加わった屋根用ラインナップです。

フッ素REVO500-IRとシリコンREVO500-IRの2グレードがあり、期待耐用年数はそれぞれ16〜20年・13〜16年です。
完全交互結合型フッ素樹脂(または豊富なシリコン成分)・ラジカル制御型白色顔料・HALS・B液による架橋反応という4つの技術で高い耐候性を発揮します。
それに加えて、低臭・ちぢれにくい・アスファルトシングルにも対応という施工上のメリットも備えています。

なお、外壁には屋根用のREVO500-IRシリーズとは別に「REVO1000シリーズ」(シリコン・フッ素・無機の3グレード)が用意されています。
外壁塗料の選び方については、アステックREVOシリーズ完全解説│シリコン・フッ素・無機の選び方でも詳しくご紹介していますので、屋根と合わせての塗り替えをご検討の方はあわせてご覧ください。

屋根塗装に使う塗料は、素材の種類・劣化の状態・建物の立地環境など様々な条件と合わせて考えることが大切です。
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